「五月病」対策実施企業はわずか2割、3人に1人が休職・退職経験あり

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新年度に訪れる、異動や転職などといった環境の変化。そうした中で1ヶ月が過ぎ、緊張や疲れがピークに達した結果、精神的または身体的なストレス、疲れによって心身に負荷がかかり、脳がうまく働かなくなる状態を五月病という。多くは憂鬱になる、なんとなく体調が悪い、会社に行きたくないなど、軽いうつ的な気分に見舞われるが、大半の企業で五月病対策を実施していない現状が見えてきた。

ソフトバンクグループのヘルスケアテクノロジーズは3月11日~14日、全国に住む20代~50代の働く男女1200人を対象に、「五月病に関する意識調査」 を実施した。まず五月病になったことがあるかを尋ねると、5割以上が「ある」と回答。五月病は深刻な病気だと思うか、の質問に対しては、五月病になったことがあるという自覚がない人も含めて、6 割以上が「そう思う」と答えた。 

さらに、五月病になったことがある人に、「回復に時間を要したか」を聞くと、6割以上が「回復に時間を要した」と考えていることが判明。「どれくらいの時間を要したか」については、最多が「1週間程度」で26.3%。次いで「2~3週間程度」(22.1%)となり、 1カ月以内に回復する人が約半数に上る一方で、「2カ月以上」の回答も17.8%と、2割ほど存在した。

続いて五月病になったことがある人に、五月病が原因で仕事を休んだことはあるかを尋ねたところ、46.8%が「ある」と回答。五月病が原因の休職・退職経験の有無については、休職は31.4%が、退職は 28.6%が「ある」と答え、中でも20代では休職・退職の割合が約4割に上るなど、五月病の影響が他の世代より大きいことが分かった。

 「所属する会社や組織は、従業員の五月病への対策を実施しているか」という質問には、「実施している」と答えた人が2割にとどまる一方で、「会社で五月病対策を実施するべき」と考える人の割合は、6割に達した。

同社ヘルスケアコンサルティング部所属の加藤 卓浩医師は、 季節性の不調と捉えられがちな五月病は、社員に休職や退職などの深刻な事態を引き起こす場合があり、企業は対策に取り組むべきだと説明。企業ができる五月病対策として、下記を挙げた。

「メンタルヘルスマネジメント、職場環境の改善等がありますが、ぜひ取り組んでいただきたいのが、セルフケアのサポートです。五月病のサインかもしれない、ちょっとした体調不良やメンタルの不調を相談できるサポート体制を構築しておきましょう。

社内カウンセラーや産業医など、 社内に相談窓口を設置・周知するという方法もありますが、福利厚生の一貫として、社内の人に知られずに利用できる健康相談サービスを導入している企業もあります。オンラインで相談できる外部サービスであれば、対面での相談を苦手とする社員でも利用しやすいかもしれません」(加藤 卓浩医師)

プレスリリース

文=大柏 真佑実

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