さらにランチには採れたてのひじきを使った料理を、三つ星レストランのシェフが振る舞うという大人も嬉しい内容。メニューは六本木にあるブリコラージュブレッド&カンパニー特注のアオサを練り込んだパンに、たくさんのひじき、アボカドのサワークリーム、パタゴニア プロビジョンズが協賛したオーガニック・レッドビーン・チリを挟み込んだサンドウィッチと、同じ港で獲れた伊勢海老とサザエのチャウダースープだ。
「ひじきのサンドウィッチって、誰も食べたことがないんじゃないかな。ひじきがあることで、それを食べる伊勢海老やサザエも存在できるので、実はすべてがハーモニーなんですよね。パンのアオサも含め、磯のつながりを表現してみました」
そう語るのは三つ星レストラン レフェルヴェソンスの生江史伸シェフ。生江氏は葉山でフリーダイビングをしているので、実際に磯焼けの現状を目の当たりにし、実行委員として参加している。
魚の解体ショーを観た後は、山木氏による海藻の勉強会が催された。本物の海藻を持ち込み、クイズを交えながら楽しく学べる内容なので、途中で子供たちが飽きることもなく、大人も子供も真剣そのもの。勉強会の後半には、海藻キッズなる地元の小学生3人によるプレゼンテーションが行われた。
実はこの3人、前回の葉山ひじきデーの参加者である。イベント参加後に、海藻の問題について自分たちも何かできないかと話し合い、海藻から作る「海藻おかずカップ」を開発した。このカップ、海藻を煮出してゼラチン状にしたものを固めているので、食べることもできるという代物。何度もトライ&エラーを繰り返し、やっとのことで完成したカッププロジェクトは、「FRaU SDGs edu こどもプレゼン・コンテスト」で大賞を受賞するという快挙を成し遂げた。
葉山ひじきデーのオーガナイザーでフリーダイバーの武藤由紀氏は、この活動についてこう言及する。
「ワークショップを通じて、まずは海の現状を楽しみながら学んでもらいたいという想いがありますが、実はそこから何かしらのアクションが生まれてくるといいなとメンバーで話していたんです。まさか子供たちがここまでの行動を起こしてくれるとは思っていなかったので、感慨深いですね。子供たちの底知れぬパワーに敬意を表したいですし、こうして子供たちに楽しく学んでもらうことで、未来の大きな力になるという希望を見出しました」