スーパーやコンビニで売られている商品や外食メニューを見てみると、そこへのニーズがよくわかります。例えば、「1日に必要な野菜の3分の1が摂れる」「たんぱく質高含有」といった特定の栄養素を補える商品や、「糖質オフ」「カロリーオフ」「減塩」といった現代食では過剰になりがちな栄養素を控えた商品など、栄養バランスをサポートする商品は数多く存在します。
とりあえず「これだけ食べておけば大丈夫」ということで注目されている完全食も登場し、栄養摂取を考えてAIが日々の食事を推奨してくれるのパーソナライズソリューションの検討なども進んでいます。
そんな中、食と健康の分野では、「未病」という概念にますます注目が集まっています。
大辞泉によると、未病とは「東洋医学において、検査を受けても異常が見つからず病気と診断されないが、健康ともいえない状態。放置すると病気になるだろうと予測される状態をいう場合が多い」と定義されていますが、病気ではないものの身体や心に何らかの不具合を感じる場合から、健康だが何らかの漠然とした不安を感じるということまで、まとめて「未病」と表現されていることが多いように感じます。
病気、疾患を解決できるのは医薬品であり、機能性食品では本来「何かしらの不調を治す」ということはできません。しかし、機能性表示食品で表示されるものは、中性脂肪、血糖値、血圧、内臓脂肪、認知機能など、病気・疾患領域に近い状態の機能が上位にランクインしています。
一方で、ウェルネス総合研究所が20代~70代の男女を対象にしておこなったニーズボリューム調査(出典:一般社団法人ウェルネス総合研究所 2022年ニーズボリューム調査)によると、それらの個別の症状ケアのニーズは限定的であり、多くの人は、健康でいたい、若々しくいたい、といった“抽象度の高い健康価値”を求めていることがわかっています。
このことからみても、既存の健康機能対策や、商品コンセプトの打ちだしでは、市場が頭打ちであることがわかるでしょう。
一般的な生活者が求めるのは、若々しく自分らしく魅力的に生きられる状態になることであり、それを維持すること。それはまさに、ブルーゾーンでのウェルビーイングなライフスタイルを実現することにほかなりません。