ストラタシスは樹脂で造形を行う3Dプリンターのメーカーとして知られていますが、Programmable Photopolymerization(プログラム可能な光重合:P3)テクノロジーによるDLP方式の光造形3Dプリンターは高精度、高速で、バイオプリントに適しています。またCollPlantのバイオインクは、植物由来のコラーゲンをベースに作られた組織再生や臓器製造のための技術です(下の動画はCollPlantの軟部組織プリントの様子)。
CollPlantのCEO、イェヒエル・タル氏は、両社の技術を組み合わせることで、シリコンインプラントや自家脂肪組織移植といった既存の乳房手術(再建、豊胸を含む)の課題を克服する可能性があると話しています。一般的なシリコン製のインプラントは、人工物であるために合併症を起こす恐れがあり、場合によっては入れ替えが必要になります。自身の脂肪を注入する再建方式は、誰にでも適応できるわけではなく、制約が多いという難点があります。
CollPlantのバイオインクで3Dプラントしたインプラントなら、それをベースに乳房組織が再生するために免疫反応も起こりません。2023年1月の動物試験では、インプラント内に結合組織と新生血管ネットワークが形成され、3カ月後には組織再生の進行が確認されました。2023年後半には商業サイズのインプラントを使った動物による大規模なフォローアップ試験を行い、後にヒトによる臨床試験を経て製品化に踏み切るとのことです。これは「美容と再建の両方の処置において革命的な選択肢になり得る」とストラタシスは話しています。
2021年のISAPS(国際美容外科学会)の報告によれば、豊胸手術は世界の美容外科手術の件数で脂肪吸引に次いで2番目に多く、その市場規模は26億ドル(約3500億円)にのぼると推定(Imarc調べ)されています。この提携により「再生医療におけるバイオプリンティングの産業化を加速できる」とストラタシスのCEO、ヨアブ・ザイーフ氏は期待を表しています。
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