ここ数年の残業時間の傾向について尋ねると、「変わらない」が半数(50%)を占める結果に。他方で、「増加傾向」(26%) と「減少傾向」(24%)はほぼ同率だった。
業界別で見ると、残業時間が増加傾向にあったのは、最多が「コンサルティング・士業」(36%)でとなり、次いで「商社」「サービス(飲食・教育・福祉など)」「マスコミ・広告・デザイン」が同率(28%)で並んだ。一方、減少傾向が見えた業界については、最多が「メーカー(機械・電気・電子など)」(32%)で、「メーカー(素材・食品・医薬品・アパレルなど)」と「運輸・交通・物流・倉庫」が同率(28%)で続いた。
残業時間の増加理由については、1位が「人員が足りないため」(75%)で、2位が「仕事量が増えたため」(67%)に。残業時間の減少理由については、最多が「残業が制限されたため」(42%)だった。
また、4月1日から月60時間以上の時間外労働の賃金割増率が大企業と同じ50%以上に引き上げられたことについては、「知っている」と答えた人は4割弱(内容も含めてよく知っている:9%、概要だけ知っている:30%)にとどまった。
さらに、賃金割増率引き上げについてどう思うかを聞いたところ、8割が「良いと思う」(とても良いと思う:47%、良いと思う:33%)と回答する一方で、「良くないと思う」人も1割弱存在。
引き上げ賛成派からは、「企業としては生産性を上げるチャンスだといえるし、従業員側としては、手取りアップかワークライフバランスを重視するか、見直すきっかけになると思う」(44歳男性)、「大手企業は以前から対応していたと思うので、統一されるのはいいことだと思う」(32歳女性)という意見が。
反対派からは、「賃金が上がるなら多少の残業は我慢すべきという、残業の常在化に拍車をかけてしまいかねないような危ない雰囲気を感じる」(27歳女性)、「残業代を稼ごうとして、わざと非効率な仕事の進め方をしてしまう人が出てくる可能性があるから」(33歳女性)、「無理にでも定時内で仕事を終わらせようという動きになると、業種によっては提供するサービスや商品の質が低下してしまうのではないか」(42歳男性)といった懸念の声が寄せられた。
今後、少子高齢化で労働力人口はさらに減少し、一人あたりの働く期間が長くなっていく。さらに要介護者が急増する「大介護時代」が到来しつつあり、男女ともなるべく短時間で生産性を上げて働き、ワークとライフの両立をより強く求められるようになるだろう。そうした中、長時間労働の是正は不可欠だ。今回、中小企業における時間外労働の賃金割増率引き上げが、功を奏することを期待したい。
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