経営者の子の4割が事業を継ぐ意思 いちばんの理由は「親孝行」

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経営者の高齢化が進む中、中小企業で後継者不足が深刻化している。日本政策金融公庫が1月に実施した調査によると、中小企業の約6割(57.4%)が廃業を予定。うち後継者難で廃業を選ぶケースが、約3割(28.4%)に上る。

そうしたなか、M&Aで中堅・中小企業の事業継承を支援するM&Aキャピタルパートナーズは4月、経営者の親を持つ20代会社員を対象に、「経営者の子どもの意識調査」を実施。親の会社/事業を継ぐ予定・意思について尋ねたところ、「はい」が約4割(37%)に。残りの6割超(63%)は「いいえ」と回答した。

親の会社/事業を継ぐ理由については、最多が「親孝行になるから」で45%。次いで「経営者になりたいから」(40%)、「親が経営してきた会社に愛着があるから」(30%)となった。

一方で、親の会社/事業を継がない理由については、最多が「親の会社/事業に興味がないから」で54.4%。続いて「今の仕事、自分のやりたいことを続けていきたいから」(25%)、「経営者としての自信・能力が不安だから」(17.6%)の順に。他にも、「自分の道を進めばいいと父親に助言されたため」や「現住所が遠方のため」といった声も寄せられた。

続いて親の会社/事業を継ぐタイミングを聞いたところ、1位が「親が経営する事業と類似する企業または取引先で働いてから」で32.5%。2位に「全く関係ない企業等で仕事をしてから」(25%)、3位に「金融機関等で働いてから」(15%)が続く結果に。

親の会社/事業を継ぐ年齢については、最多が「30歳〜34歳」(35%)。親の会社/事業を継いだ後の経営方針を質問すると、「現状維持」が最も多かったのものの(32.5%)、次いで「既存事業に加えて、周辺事業を展開したい」「既存事業に加えて、新たな事業を展開したい」(いずれも25%)が並び、合わせて約半数が事業承継後に新事業の展開を考えていることが分かった。

さらに、会社を経営する親がいつまで働くかを話したことはあるか、または知っているか、については「知っている」派が3割強にとどまり(話したことがあり、知っている:28.7%、話したことはないが知っている:6.5%)、「知らない」派が約6割を占めた(話したことはあるが、知らない:19.4%、話したことがなく、知らない:38.9%)。

経営者として多忙な日々を送り、事業継承の手続きが煩雑などといった理由から、つい後回しになりがちな事業継承への着手。しかし中小企業の後継者を決め、育成することは簡単ではない。遅きに失しないために、事業の現状や将来について、親子間で日頃から具体的なコミュニケーションを取っていくことが大切だ。

調査期間:2023年4月24日〜同年4月27日
有効回答:親が経営者(個人商店除く)の20代会社員108名

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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