経済・社会

2023.05.08 19:15

「こども基本法」を知る子供たちはわずか1割

リリースベース(松村)

4月1日に発足したこども家庭庁。従来は内閣府や厚生労働省が取り組んできた事務を一元化するために設立されましたが、それと同時に「こども基本法」というものも施行しれています。これは、すべての子供や若者が、将来にわたって幸せな生活ができる社会を実現するためにつくられたもので、社会全体で子供や若者に関する取り組み「こども施策」を進めていくというものです。

こども施策は6つの基本理念をもとに行われますが、詳しい内容についてはこども家庭庁のサイトパンフレットとして公開されています。こども基本法の制定を目指す提言書を発表するなど、子供の権利を守るための活動を展開してきた日本財団は、当事者である子供たちに対して意識調査を実施。その結果が公表されています。

まず、こども基本法のことを知っているかについては、「詳しく知っている」「知っている」の合計が8.8%で、名称の認知度は38.5%、「聞いたことはない」と回答が61.5%と、多くの人が知らないという状況です。

また、子供の権利条約の認知状況も似たようなもので、「詳しく知っている」「知っている」が9%、「聞いたことがない」は59.3%という結果でした。

自分やまわりの子供で、こどもの権利が守られていないと感じているものとしては、「子供は自分に関することについて、自由に意見を言うことができ、大人はそれを尊重する」が11.9%とトップ。次いで「子供はどんな理由でも差別されない」が11.3%、「子供は教育を受ける権利がある」が10.8%と続いています。

こうした状況に対して、子供の権利を守るにはどうすればいいかについては、「子供に子供の権利について、もっと学校で教える」が29.5%でトップ。「子供が困ったことや大人に伝えたいことを、伝えるサポートをしてくれる人がいる」が27.7%、「困った時に電話、SNS、メールなどで相談できるところがある」が26.5%となっています。

また、国や社会が子供たちのために優先的に取り組むべきこととしては、「高校・大学までの教育を無料で受けられること」が40.3%でトップ。「いじめのない社会を作ること」が36.7%、「子供が犯罪や悪いことに巻き込まれることなく、安全に過ごせること」が33.7%と続いています。

教育費に関しては、現状負担が大きいと大人はもちろん多くの子供たちも感じているようで、無償化とまでいかないまでも、もっと国からの援助が欲しいと訴えています。また、時代にそぐわない校則の見直しを訴える子供たちも多く、学校より塾のほうが楽しいといった意見もあります。

こども基本法についてはあまり知らない子供たちも、意見を求められればしっかり答えてくれており、よりよい世の中にしていきたいという意識は意外と高いのではないでしょうか? こうした政策も、大人たちだけで決めず、子供たちの声にしっかり耳を傾け、作り上げていくことが必要なのではないでしょうか。

出典:日本財団「こども1万人意識調査結果」より

文=飯島範久

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