中央アジア諸国はロシアのウクライナ侵攻に対する不満を表明しながら、西側の対ロシア制裁に同調し、欧米の影響力と投資を呼び込むことで、ロシアの既存の影響力や中国がじわじわと強めつつある影響力を緩和し続けてきた。ロシアの影響力が低下し、西側との関係が強まったことで、カザフスタンの新たな企業にとって有利なビジネス環境が整いつつある。これには欧米からの関与を強める必要がある。欧州はこの機会をつかんだが、米国はアントニー・ブリンケン国務長官が最近カザフスタンの首都アスタナを訪問したにもかかわらず、その後の対応が遅れている。
中央アジアは計り知れない経済的潜在力を持ち、民主化に対する熱意や反ロシア感情が高まる中、西側諸国との協力への意欲を示しているにもかかわらず、米国の多くの政策立案者や投資家からいまだに見過ごされている。大きな利益をもたらすだけでなく、欧米にとって戦略的な関わりを持つ中央アジアを見くびっていると、ロシアの影響力を不用意に強め、中国の影響力強化に道を開くことにもなりかねない。
欧米はカザフスタンをはじめとする中央アジア諸国に投資し、ロシアと中国のバランスを取り、ロシアの影響力低下によってできた空白を埋め、中国の存在感に対する強力な競争力をもたらすべきだ。そのためには、政界や金融界、産業界を含む欧米の主要な主体が戦略的に関わっていく必要がある。大西洋の両側に位置する西側諸国は、自国の地政学的かつ地理経済学的利益を明確にし、それを守るための「戦略的な柱」を見つけなければならない。大国間の競争で敗北を認めるようなことは、米国にはできないはずだ。
(forbes.com 原文)