カスピの株式は10月12日にロンドン証券取引所で33.75ドルの初値をつけ、13日の終値は41.80ドルとなった。
カスピはカザフスタン最大の決済プラットフォームを運営するフィンテック企業で、人口1800万人の同国で700万人以上のユーザーを獲得している。「スーパーアプリ」を自認する同社は、現地のキャッシュレス決済やEコマース、金融のデジタル化を加速させ、現地の人々の暮らしに欠かせないサービスとなっていると、IPO前の声明では述べられた。
目論見書によると、カスピの2019年の売上は13億ドルで、5億1500万ドルの純利益を得ていた。同社はパンデミックの中で事業を拡大し、2020年上半期の売上は7億4000万ドルで、純利益は2億8600万ドルに達していた。
ロンドン証券取引所の欧州担当責任者のアユナ・ネチャエバは今回のカスピのIPOについて、「2007年以来、カザフスタン出身の企業によるロンドンでの最大の上場であり、今年のロンドン市場でのグローバルなテック系企業のIPOとしては、最大の規模だ」と述べた。
英国のフィンテック企業「Revolut」と同様に、カスピは後払いサービスや消費者融資、決済サービスを提供する。2019年に同社はカザフスタンにおける消費者ローン市場で、32%のシェアを獲得し、首位に立ったと述べている。カザフスタン国内で、カスピはVISAやマスターカードからシェアを奪っており、今年6月の集計で同社の国内の決済ボリュームは全体の66%に達していたという。
2011年創業の同社は当初、手形決済とEウォレットソリューションとして始動した後、2014年にトレーダー向けのマーケットプレイスと消費者金融サービスを開始した。2017年にはモバイルアプリを追加し、カードや電話番号による個人間送金も可能した。
ロックダウンの間に、多くの大手フィンテック企業が勢いを失う中、カスピは新たなソリューションで支持を伸ばしていった。
今年6月に現地メデイアは、カスピCEOのLomtadzeの献身的な取り組みを評価され、カザフスタン大統領から感謝のメダルを授与されたと報じた。
Lomtadzeは地元メデイアの取材に、同社の社員らが昼夜を問わず人々のために働き、「非常事態の間に必要とされていた社会的な支払いを受けられるようにした」と語った。
彼によると、パンデミックの間に440万人が、カスピのアプリで国家の給付金を受け取ったという。