2023.05.04

一度は訪れたい、5つの「世界遺産のワイン生産地」

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毎年4月18日は、「世界遺産の日」。ユネスコの国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が、各地の世界遺産を知ってもらうために定めた日だ。

世界遺産委員会は、世界遺産条約締約国総会で選出された21カ国の委員国で構成される。任期は6年。毎年会合を開き、各国から推薦された文化遺産や自然遺産などが「顕著な普遍的価値」を有するか否かなどを審査し、登録の可否を決定している。世界遺産に登録されれば、現在と未来の全人類に共通して重大な意味をもつと意味づけられたことになる。

ユネスコは、こう述べている。「世界遺産は、目に見えるものだけではない。登録されているのは比類なき遺産であり、地域内外の人々にとって深い意味をもつことを忘れてはならない。歴史が積み重ねられてできた都市、これまで生きてきた多くの人々の経験がかたちづくる遺跡、先祖代々伝わる住宅、生物多様性にあふれた自然――それが世界遺産だ。世界遺産を守ることは、私たち人類のこれまでの生き方を振り返ると同時に、これからどう生きていきたいのかを考えることでもある」

世界遺産に登録された文化遺産、自然遺産、複合遺産が、永遠に存在し続けるという保証はない。それどころか、ユネスコの調査によると、世界遺産に登録されている森林のうちの推定60%が、気候変動に関連した異常気象で脅威にさらされているという。また、世界遺産に登録された場所の3分の1では、2050年までに氷河が消滅してしまうことも、別の調査で示されている。

農産業であり、文化でもあるワインに携わる人々は、その独自性と生産を危機にさらす変化があり得ることを認識している。ブドウ栽培の体系はかなり流動的であり、気候変動、地政学的な影響、インフラの変化、労働力不足など、数々の要因に左右されやすいのだ。

世界遺産の登録リストには、世界中の愛好家たちに親しまれている優れたワインの生産地も含まれている。ブドウ栽培が高く評価されたことで、顕著な普遍的価値を有すると認められたワイン生産地も少なくない。次の旅行計画を立てる際には、旅の途中に立ち寄れそうな生産地がないか、登録リストを確認してみよう。

世界遺産に登録されているワイン生産地は多数あるが、以下ではそのごく一部として、5カ所を紹介しよう。ワインを生産する職人の技と自然環境をうまく融合させて、優れたブドウ栽培環境を保っている場所だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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