重要な基準を達成したテレストリアルエナジー
テレストリアルエナジーは、カナダを拠点に第4世代の原子力技術を手がける企業だ。同社の統合型溶融塩炉(IMSR)は、冷却材と燃料溶媒に溶融塩を使用する第4世代原子炉だ。溶融塩炉は従来の原子炉に比べ高温で運転できるため、効率的で柔軟性が高く、トリウムを含むさまざまな種類の燃料を使用でき、事故に対する受動的安全性が強化されているなど、数多くの利点がある。
テレストリアルエナジーは先週、IMSRの許認可に向けた設計審査の第2段階を終え、規制上の大きな基準を達成したと発表した。カナダ原子力安全委員会(CNSC)はIMSRの設計に関し、安全性や防護性、環境への影響など、原子炉のあらゆる側面におよぶ包括的な検査を行った。その上で、IMSRの設計がすべての規制要件を満たしており、カナダで安全かつ確実に運用できると結論付けた。
テレストリアルエナジーのサイモン・アイリッシュ最高経営責任者(CEO)は「CNSCの設計審査を完了したことで、IMSR計画は大きく躍進した。この審査は当社の社員の努力と献身の証であり、IMSRの商業開発に向けた明確な道筋を示すものだ」と評価した。
IMSRには価格競争力があり、発電や工業用の加工熱、脱塩など、さまざまな用途に適した炭素を排出しないエネルギー源となる。IMSRは拡張性にも優れ、あらゆる市場の要求に合わせ、さまざまな規模で展開することができる。
規制の基準を達成したことで、テレストリアルエナジーにはIMSR技術の商業化に向けた体制が整った。同社はカナダに最初の商業規模の原子炉を建設する計画で、米国などでも展開を視野に入れている。
IMSRは安全で信頼性が高く、費用効率の高い電力を供給する能力を秘めており、温室効果ガスを排出することなく、世界中で高まるエネルギー需要を満たすのに貢献する。テレストリアルエナジーが設計審査を終えたことは、IMSR計画にとっても、経済の脱炭素化に向けた世界的な取り組みにとっても大きな前進であり、原子力産業と環境に優しいエネルギーの未来に刺激的な展開をもたらすだろう。
(forbes.com 原文)