テクノロジー

2022.10.10 14:00

世界は原子力発電なしでネットゼロエミッションを実現できない

建設中の中国・田湾(ティエンワン)原子力発電所(Getty Images)

建設中の中国・田湾(ティエンワン)原子力発電所(Getty Images)

私が原子力について何かを書くと、必ず読者から熱のこもった反応が返ってくる。以前書いた『原子力発電は世界の炭素排出量を半分にする』という記事のときも記事もそうだった。

私たちに必要なのはソーラーパワーだけと信じる集団は常に存在している。私はこの人たちを「数学をやらなかった人たち」と考えるようにしている。彼らは「ソーラーは原子力より安い」というような定性的な反応を山ほどよこし、ソーラー発電は驚くべき速さで成長しているというデータを挙げる。

ソーラーが急速に伸びているのは本当だ。実際、私はそのことについて何度も書いている。遡って2007年、私は「The Future is Solar(未来はソーラー)」という記事を書いた。以来、何十回とこの話題に関する記事を書いてきた。しかし、ソーラー擁護派の中には、原子力は必要ないと私を説得しようとする人たちが必ずいる。私がすでに知っている事実ばかりを挙げて。

前回の私の記事をきっかけにしてTwitter(ツイッター)で勃発した議論への反応を1つ見てみよう。ジガー・シャーは米国エネルギー省融資プログラム局のディレクターだ。彼は初期の成功したソーラー会社の1つであるSunEdisonの創業者でもある。ジガー以上のクリーン・テクノロジー支持者はいない。しかし彼はソーラーだけではできないことを知っていて、そうでないという誰かにツイートで反論した。

ジガーは、ソーラーの成長は速いが、十分速くはないと指摘する。そこには原子力が埋めるべき穴がある。「あらゆるモデルがそれを示しています」と。

事実、国際エネルギー機関はそれを知っていて、2050年までにネットゼロ・エネルギーを達成するためには、世界の原子力発電出力を2倍にする必要があると推測している。

それが、数字を詳しく見ている人とそうでない人との違いだ。そして、多くの環境組織や擁護派が、もし原子力を早く増やさなければ世界は石炭を燃やし続けることになるという結論に達した理由だ。

私だって再生可能エネルギーが全部できればいいと思っている。しかし、世界最大の再生可能エネルギー市場は、間違いなくそう思っていない。

中国は近年、どこの国よりも多くのソーラー電力を展開してきた。2021年、中国のソーラー出力は66テラワット時(TWh)増加した。これはソーラー電力の全世界における増加の35%に相当する。中国の年間総ソーラー電力327TWhは、世界第2位である米国の2倍だ。

しかし、それでも中国は新しい石炭火力発電所と新しい原子力発電所の建設を止めていない。中国の石炭消費量は過去20年で2倍以上に増えている。この国は世界石炭消費の53.8%を占めており、昨年中国は石炭消費量の新記録を打ち立てた。
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翻訳=高橋信夫

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