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米航空宇宙局(NASA)が月面での原子炉設置に向けて、原子力業界や宇宙業界にシステムの設計案を募っている。NASAは2030年までにこうした原子炉を設置し、月面探査などの電力源にしたい考えだ。

有人宇宙探査や宇宙基地に必要な電力を賄うには、化学燃料や太陽光パネルでは不十分になる。月の夜はマイナス170度まで下がり14日間続くが、太陽光でその期間分の電力をつくって電池に蓄える場合、その電池は相当な重量になる。化石燃料でこの夜を乗り切ろうとする場合も、必要分はやはり相当な重さになる。

55ガロン(約204リットル)の石油が入ったドラム缶1個だけでも約180キロになり、宇宙空間に運ぶには500万ドル(約5億7000万円)ほどかかる。しかも宇宙空間では石油はあまりもたない。

そもそも、空気がないところで化石燃料を使うのは難しい。一方で、液体酸素や液体水素など酸化性の強い非化石燃料はさらにコストがかさみ、使用にはいくらか危険もともなう。火星より遠くなると、状況はもっと厳しくなる。

こうした事情から、何年も連鎖反応が続く核分裂炉が必要とされているわけだ。

月面に原子炉を設置する「核分裂表面電力(FSP)」プロジェクトは、NASAが米エネルギー省とアイダホ国立研究所(INL)と協力して後援しているもの。NASAが2030年までに月面で実施するミッションや、その後に行われる可能性のあるミッションのために、耐久性があり、高出力で、太陽に依存しない電源を設けることをめざしている。

NASAは先月、初期段階のシステム設計の提案依頼(RFP)を出し、低濃縮ウランを燃料とし、宇宙空間で輸送可能な小型原子炉のアイデアの募集を始めた。月の環境下で10年間、連続して40キロワット以上発電できるなど、いくつかの要件を満たす必要がある。

提案の提出期限は2022年2月19日で、契約額の上限は500万ドルとなっている。

INLでFSPプロジェクトを率いるセバスチャン・コルビシエロは、宇宙用原子力発電システムにはこれまで「とてもエキサイティングな」フィードバックや熱意が寄せられてきたと説明。「信頼性が高く高出力の発電システムを月面に設けることは、有人宇宙探査の次のステップとしてたいへん重要なもので、それはわたしたちの手の届くところにある」と述べている。

NASAのFSPプロジェクトは、2018年に終了した「キロパワー」プロジェクトを発展させたもの。NASAは、今後月面でプロジェクトを実証できれば、月や火星での持続可能な活動やベースキャンプへの道が開けると期待している。

ただ、米国は取り組みを急がないと中国に追い抜かれそうだ。中国は自国による月や火星のミッションのために、より強力な小型原子炉の開発を進めている。プロジェクトにかかわっている研究者らによると、この原子炉の出力はNASAの検討しているものより100倍以上高い1メガワットとされる。

編集=江戸伸禎

宇宙

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