「自宅の庭でのお別れ」どうやって手配するべき?
──どのタイミングであなたに連絡すればいいのでしょうか?
実際に葬儀が必要になる前にご連絡をいただきたいです。本当にいざ葬儀、となると、業者からシナリオとかカタログとかを渡されてしまい、その段になると、そのシナリオから選択する必要があると思いこんでしまいます。そして、私たちには遺体搬送の権限がないため、葬儀社にアプローチする必要がありますが、自然葬を行う上では、葬儀社を巻き込む前にご遺族とお話をする必要があります。実際には自宅の庭で故人とお別れをしたい場合、葬儀社に必要最低限の費用を支払って、式場から火葬場までの送迎やお墓への埋葬を任せられることをご存じの方は、少ないのではないでしょうか?
──庭でセレモニーをしたい、といった時に誰に相談したらよいか、わからない人は多いでしょうね。
そうですね。それだけに、私たちにコンタクトしてくださる方の多くが、すでに自然葬やそれに準ずるセレモニーを実際に体験された方、あるいはそういった人たちからのご紹介なのです。私たちは、身近な人が亡くなるなど、突然の実際の出来事がなければ向き合わないことが多い「死」を、つねに身近に感じています。だからこそ、相談していただくには適任と思っています。
──われわれは日常、「死」についての会話を避ける傾向があると感じます。それはなぜなのでしょう?
調査会社Viaticusの調査によると、この国で死について語らない主な理由は「迷信」だそうです。人々は、死について話すときに、迷信と関係づけられることを恐れる、というのです。これはスロバキア人の特異性だと思います。──なるほど。その他の理由はありますか?
よく、「今の日常からは遠い話題だから、とくに話さない、考えたくない」と言う人もいますよね。なぜ、30代で葬儀の曲を選ばなければならないのか、と。今回もこの議論を踏まえて、販売するツールを整理しました。「死に関する問題を扱ったカード」と、「葬儀に関するカード」の2セットです。──そのカードは近々、発売されますか。
スタートラボ(クラウドファンディングの一種)で販売し、目標金額を2度ほどクリアしました。今日に至るまでほぼ毎日、注文が入っています。人々は、死ぬ間際や死後の瞬間が、大切な人の肩にかかることを実感しているのかもしれません。そのテーマは通常、とても遠いところにありますが、自分の意識がはっきりしている、元気なときにこそ、難しい質問に答えるべく考えることで、将来の困難な瞬間に魂が救われると思っています。もちろん、お別れの最後の瞬間を、旅立つ人が望んだとおりのものにするためにも、考えることは有効です。
──悲しいテーマだからといって、それを遠くに追いやるようなことはするべきでないと。
はい。でも、実際は難しいですよね。「死」について現実的に考え始める年齢、たとえば70歳以上の方でも、また別の理由で難しい。この話題について親族に話そうとすると、「おばあちゃん、あなたは私たちより長生きするわよ」といったせりふで退けられることが多い。親族は良かれと思って言っているのでしょうが、そうすると、高齢者は自分の旅立ちについて話すことで家族を動揺させていると感じてしまい、話題にのぼせることを控えてしまうのです。