中国経済の復活で世界の高級品市場、航空需要、海運に活気が戻る

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航空便の提供座席、じわり増加中

3年におよぶ厳しいロックダウンを経て、中国の中・高所得者の多くは再び外国旅行を望んでいる。問題は、航空便の提供座席数が現在、2019年のわずか22%の水準にあることだ。スペインの旅行調査会社ForwardKeys(フォワードキーズ)とグローバルブルーは、提供座席数が夏以降にパンデミック前の45%になり、年末までに75%に達すると予測している。中国人観光客の動向を調査するChina Outbound Tourism Research Institute(COTRI)によると、中国本土からの外国旅行は今年、2019年実績の3分の2に当たる1億1000万件になると推定される。最も人気の訪問先はシンガポールとの予想だ。

今後数週間から数カ月の間に、こうした飛行機を使った旅行の回復が中国の航空会社の株価に反映されるはずだ。中国の航空会社の株価回復は今年これまでのところほとんどの地域の航空会社に遅れをとっている。現在、欧州の航空会社が最も好調で、格安航空会社のeasyJet(イージージェット)は年初来57%増という驚異的な上昇を記録している。このほか、Air France(エールフランス)が同24.6%増、ドイツのLufthansa(ルフトハンザ)が同24%増、アイルランドのRyanair(ライアンエアー)が同21%増、インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が同20.7%増と、いずれも2桁増を記録している。

上海発コンテナ運賃が4週連続で上昇

最後にコンテナ輸送の状況を見てみよう。高級品ブランドや航空会社ほど投資の魅力はないが、数カ月にわたる悪化から落ち着きを取り戻しつつあり、注目すべき業界の1つとなっている。

パンデミック時には、他人との距離をとる消費者が景気刺激策の給付金をサービスではなくモノに使ったため、輸送料金が高騰した。その結果、世界中の港で遅延が発生した。だがコンテナ運賃指数(FBX)によると、1FEU(40フィートコンテナ1個分)の輸送料金は2021年9月のピーク時に1万1000ドル(約150万円)という驚異的な値を記録し、それ以来、世界の輸送料金は急激に下がった。

中国では輸送料金が底を打ったようだ。上海発コンテナ運賃指数(SCFI)が4週連続で上昇し、2021年12月以降で最も長い上昇基調となっている。世界的な出来事が新たにあれば別として、輸送料金がすぐにパンデミック時代の水準に戻るわけではないが、この動きは前向きなものだ。上海は世界最大の港であり、筆者は上海のデータを先行指標と考えている。

米金融Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)も近く貨物が急増すると見ている。四半期ごとに行う調査で、海運会社は今年、世界の貨物需要が改善するとの見通しを示した。4社のうち3社という割合で今年在庫が正常化すると考えており、ほぼ半数が今年後半に正常化すると答えている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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