ビジネス

2023.04.28 09:00

Web3の先駆者たちが語る、DAO(分散型自律組織)の光と課題

石井節子
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──「DAOを始めたい、つくりたい」という人へのアドバイスは。

亀井:そもそも、DAOをつくることを目的化する時点でズレがある。あくまでもミッションや課題が先にあり、DAOは裏側を支える組織形態のひとつであるべきだ。ミッションやテーマによっては、企業でビジネスとして取り組んだほうがいい場合も少なくない。

赤澤:テーマ設定は重要だ。Web3やDAOはボトムアップ型組織であり、根っこにあるコンセプトは「コレクティブ」だ。特定の企業や個人では解決するのが難しい課題に取り組むのに向いている。

例えば、地球規模なら気候変動対策、国や地域レベルなら渋滞の問題などは、ある特定の企業や団体が頑張って解決できるものではない。このような課題に対しては、コレクティブなアプローチを通じてソリューションを生み出すほうが向いている。

亀井:公共性は高いがビジネスとして利益を出しにくいテーマや、世界規模で対応する必要がある喫緊の課題にこそ、DAOの仕組みを使う意義がある。例えば、戦争や災害などが起きた際にDAOを立ち上げ、暗号資産を使って一気に支援金を集め、当初のミッションを果たしたら解散する。特に日本では、こうした活動に取り組むDAOがもっと増えてもいいのではないかと思う。




瀬戸久美子(せと・くみこ)◎Forbes JAPANコントリビューティングエディター/特集デスク兼任。カバー領域はビジネス・経営全般、グローバル経済、メディアの未来。早稲田大学在籍中に交換留学先の米国でジャーナリズムを学び、卒業後は日経ホーム出版社(現・日経BP)に就職。『日経ビジネス』記者や『日経WOMAN』『日経TRENDY』副編集長などを歴任。J-WAVE「Jam the WORLD」のナビゲーターや報道番組のコメンテーター、Podcasterなども手がけた。2023年1月にはメディアリーダーとして「世界経済フォーラム年次総会2023」(通称「ダボス会議」)に参加し、「Japan Night Davos」のMCを務めた。東京都市大学特任教授。修士(国際関係学)。

文=瀬戸久美子

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