LGBTQ+当事者は非当事者の約1.5倍「職場で生きづらさを感じる」

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昨今、人材の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値の向上を目指す「人的資本経営」への流れが進む中、LGBTQ+に関する取り組みを実施する企業が増加している。

LGBTQ+とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングの5つの頭文字に、既存のカテゴライズに当てはまらないさまざまな性のありようを現す「+」をつけた言葉だ。

求人情報の検索エンジンを運営し、LGBTQ+をはじめ多様な人々が働きやすい社会を目指すIndeed Japanは、LGBTQ+当事者1000名を対象に「仕事や職場に関する意識調査」を実施。多くのLGBTQ+当事者が自らのセクシャリティが原因で、職場や仕事探しにおいて課題を抱えている現状が明らかになった。

まず、職場で生きづらさを感じるかを尋ねたところ、LGBTQ+当事者の約4割(39.1%)が「感じる」と回答。LGBTQ+当事者の割合が非当事者(26.8%)を上回り、非当事者の約1.5倍となった。

LGBTQ+当事者であることがきっかけで、職場や仕事探しにおいて不安やストレス、嫌な思いを経験したことがあるか、の問いには33.5%が「ある」と答え、3人に1人以上の割合に。

さらに、その際にどのような対策をしたかについては、35.5%が「誰にも言わず/何もしなかった(自分の心のなかにとどめた)」と回答。「対策をした」と答えた64.5%の人が取った対策の中で最も多かったのは、「公的・民間の窓口など社外の人や組織に相談した」で12.5%。次いで「LGBTQ+コミュニティへの相談」(11.9%)、「友人や家族などへの相談」(11.3%)の順となった。一方で、約5人に1人(21.5%)が、「転職/退職(転職活動の開始を含む)」を選択した経験があることも分かった。

続いて、現在の職場で同僚や上司にカミングアウトをしているかの質問には、LGBTQ+当事者の75.8%が「していない」と回答。「カミングアウトしている」割合は、2割超にとどまった。

この結果を踏まえて同社は、「企業からは、LGBTQ+当事者の存在が見えづらい状況が考えられる。そのため、企業においてLGBTQ+当事者がいる前提での環境づくりやコミュニケーションが進みにくいことによって、LGBTQ+当事者が職場で感じる不安や生きづらさにつながっているという可能性も考えられる」と指摘。

他にも調査では、LGBTQ+当事者の3割以上(31.5%)が「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」、4人に1人(24.4%)が「当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めたことがある」と回答した。

LGBTQ+当事者がやりたい仕事を諦めないために、企業や職場に求めることとしては、1位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」(24.7%)、2位「カミングアウトしない人も、職場の居心地がよい」(23.8%)、3位「カミングアウトしない人も、職場での人間関係を深められる」(20.1%)の順に。

違和感や生きづらさを感じず、安心して働くために求めることとしては、1位「誰もが自由な服装や髪型・言葉遣いなど、特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」(21.1%)、2位「カミングアウトしなくても不利がないような制度や従業員の意識がある職場」(19.9%)、3位「自分を理解してくれ、今後の仕事・キャリアの相談に乗ってくれる人(LGBTQ+かを問わず)がいる職場」(15.4%)となった。

同社は「LGBTQ+当事者が企業や職場に求めることは、多様な性のあり方に対する理解や意識の浸透、そしてカミングアウトの有無に関わらず、働きやすい制度や環境である」と分析した。

プレスリリース

文=大柏 真佑実

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