電動キックボード規制緩和にブレーキか、弁護士の半数超が反対

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街中などでちょっとした距離を手軽に移動できる手段として、近年、利用者が増えている電動キックボード。一方で事故も増加しており、警察庁によると2020年~23年1月までに電動キックボードに関連する事故件数は76件。うち1人が死亡、78人が怪我をした。パリでは4月2日、電動キックボードに関連する事故が急増していることから、シェアリングサービスの継続是非を問う住民投票を実施するなど、電動キックボードの利用が大きな社会問題になっている。

そんな中、日本では7月1日から道路交通法の改正案が適用がされ、16歳以上であれば免許・ヘルメットなしで利用でき、最高時速6キロメートル以下なら歩道も走行できるようになる。弁護士ドットコムは3月25日〜4月2日、施行を前に登録弁護士109名を対象に、電動キックボードの規制緩和に関する調査を実施した。

今回の規制緩和への意見を求めたところ、最多が「反対」で41.3%。「やや反対」(14.7%)と合わせると、反対派が56%となり半数超に。賛成派は(賛成22.9%、やや賛成12.8%)3割強にとどまった。 

続いて法改正後、電動キックボードの事故は増加すると思うかを尋ねると、「増加する」(69.7%)と「やや増加する」(22.9%)が合わせて9割超に。

新制度について、期待としては「多くの人が簡単に使える」「新しいサービスが生まれるきっかけになる」(いずれも53.8%で同率1位)、次いで「乗り心地がよく、移動の快適性が増す」(43.6%)の順に。不安としては最多が「周囲の歩行者の事故リスクが高まる」(95.1%)で、次いで「周囲を走る車や自転車の事故リスクが高まる」(77%)の回答が上位に並んだ(複数回答可)

さらに事業者が利用者に対して、交通ルールの理解度を図るテストの受験や、交通ルールを解説した動画の視聴を求めるというルールを定めたガイドラインについては、「不十分だ」(51.4%)と「やや不十分だ」(11%)が合わせて6割を超えた。

他にも回答者の弁護士からは、「歩道走行禁止、原付と同等の規制を強くかけるべき」「現在の日本、特に人口密集地の道路状況からして、公道で使用するにはリスクが大きい。郊外など使用場所を限定するなどすべき」「保険への加入を義務付ける等の制度を設けるべき」といった規制強化を求める声が。

一方で、「技術革新を採り入れることは大切だと思います。ドローンや自動運転技術についても積極的に採り入れ、社会を便利にしていくべきです」という前向きな意見も寄せられた。

プレスリリース

文=大柏 真佑実

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