また、一部の報告では、アルツハイマー病だけでなく、うつ病や認知症などの予防・改善効果もあるとされています。カプリン酸は、脳内の神経伝達物質や神経細胞の構成要素にも関与しているため、脳の機能を維持する上で重要な栄養素と言えます。
MCTによるアルツハイマー病の予防や改善については、記事の最後に論文を記載していますので参考にしてください。
ただしカプリン酸を過剰に摂取すると、消化器系のトラブルやアレルギー症状の発症などのリスクがあるため、適量を守ることが重要です。一般的には、1日あたりの適量は大人で約20g程度とされています。
また血管の健康を維持するためには、カプリン酸だけでなく、オメガ3脂肪酸やオリーブオイルなどの脂肪酸の摂取も重要です。これらの脂肪酸は、血管の柔軟性を保ち血液の循環を促進するため、心臓病や脳卒中などの生活習慣病の予防することができます。
さらに、日常生活での運動やタバコの禁煙、アルコールの適量摂取などの生活習慣の改善も、血管の健康を維持する上で大切なポイントと言えます。
過剰な摂取は避けるべき
今回は、カプリン酸や健康的な脂肪酸の摂取が、血管の健康に及ぼす効果についてご紹介しました。このような栄養素をバランスよく摂取することで、健康な体と心を維持することができます。ただし、摂りすぎには注意し、生活習慣の改善も合わせて取り組むことが大切です。しかし、健康に良いからと言って、過剰な摂取は避けるべきです。バランスの良い食事と健康的な生活習慣を維持することが、心血管疾患や認知症などの予防につながります。
「良い脂の摂取は、悪い脂の害から守る」まさに人間に備わった大事な機能なのかもしれません。一度普段の食事から脂を見直してみてはどうでしょうか?
【MCTに関するアルツハイマー病などにおける研究論文リスト】
・Hirano K, et al. Eur Heart J. 2022 Dec 30;ehac762. doi:10.1093/eurheartj/ehac762. Online ahead of print.
・Reger, M. A., et al. (2004). "Effects of beta-hydroxybutyrate on cognition in memory-impaired adults." Neurobiol Aging 25(3): 311-314. PMID: 15123336
・Henderson, S. T., et al. (2009). "Study of the ketogenic agent AC-1202 in mild to moderate Alzheimer's disease: a randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter trial." Nutr Metab (Lond) 6: 31. PMID: 19664276
・Krikorian, R., et al. (2012). "Improved cognitive-cerebral function in older adults with chromium supplementation: a randomized controlled trial." Nutr Neurosci 15(6): 302-308. PMID: 23146781
・Teng, Y. H., Aquino, J. R., & Kim, H. (2020). Effect of medium chain triglycerides on Alzheimer's disease: A systematic review and meta-analysis. American Journal of Alzheimer's Disease & Other Dementias, 35, 1533317519898254.
・Xu, K., Sun, X., Ero, R., Lee, Y. M., Ikonen, J., & Shi, J. (2020). Effects of medium-chain triglycerides on cognitive performance in elderly patients with Alzheimer's disease: A systematic review and meta-analysis. Journal of Alzheimer's Disease, 77(3), 1055-1066.