健康診断では、30代を境に「コレステロールが高い!」「中性脂肪がぎりぎりだね!」と医師から指摘を受けることが多くなります。脂質異常症による血清脂質低下治療薬(スタチン系に代表される高脂血症薬)を処方されるケースも、ちらほら聞きます。
しかし、脂質つまり「脂」は、本当に私たちの敵なのでしょうか?実は、脂でも「良い脂」と「悪い脂」があるという事をご存知でしょうか。
脂汚れは「脂」で洗う
昨今は健康のために、エクストラバージンオイルやエゴマ油、亜麻仁油などの身体に良いとされる脂を摂取する人が増えてきました。実は、このような「良い脂」を取ることは、「悪い脂」を体外に出す為に大変重要な事だとわかってきたのです。例えば、化粧を落とす際に最も汚れが落ちるのが油のクレンジング(オイルクレンジング)ですが、これは「脂汚れを脂で洗う」代表例です。同様に、体内でも「悪い脂」を「良い脂」で洗い、きれいにする事ができるのです。
近年の研究では、なかなか落ちない血管内皮の脂、特に心臓病に直結する冠状動脈の細かい血管にある中性脂肪を落とすのに、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)が効果的だという事がわかりました。
アルツハイマー病の予防にも?
MCTは、ココナッツやパームフルーツなどに含まれる成分で、カプリン酸やカプリル酸などの中鎖脂肪酸を含む「脂肪酸」の一種です。長鎖脂肪酸に比べて消化吸収が早く、身体にエネルギーとして利用されるため、ダイエットや運動にも効果的とされています。1. 血中の中性脂肪の減少 2. 不整脈予防 3. 血液をさらさらにする 4. 動脈硬化予防といった効果が期待されます。
実際に大阪大学の研究チームによる研究で、MCTの一種であるカプリン酸を摂取することで、血管内皮細胞の機能を改善できることが分かっています。これらの細胞は、血流を調節し、健康的な血管を維持するのに重要な役割を果たしており、これらの細胞の機能障害は、数多くの心血管疾患に関連しています。
つまりカプリン酸を摂取することで、心血管疾患の予防に繋がることがわかったのです。このように、MCT内に含まれるカプリン酸は血管の健康に良い影響を与えることが分かっています。