宇宙

2023.04.15

超新星の残骸「カシオペア座A」の最新画像に天文学者たちは興奮

超新星残骸、カシオペア座A(Cas A)は地球から約1万1000光年のカシオペア座にある( NASA, ESA, CSA, D. Milisavljevic (Purdue), T. Temim (Princeton), I. De Looze (Ghent University). Image Processing: J. DePasquale (STScI))

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の精密な中赤外線カメラが捉えたカシオペア座A(Cas A)の画像は、ちりとデブリからなるこのカラフルな塊を、天文学者たちが理解するきっけかになるかもしれない。カシオペア座Aは、知られている天の川銀河で最も若いコア崩壊型超新星爆発の残骸だ。この種の残骸は、生物学的に重要な元素であるカルシウムや鉄などを含む恒星や惑星の新しい世代が生まれるために不可欠だと考えられている。

しかし、ガスやちり、デブリからなるこの一群を作った超新星爆発がいつ起きたのか、その時期はまだ確認されていない。最も正確とされる推定は、カシオペア座Aを生み出した超新星からの光が1680年8月に地球に到達したというもので、およそ340年前だ。

しかし、当時の目撃証人はいない。そして天文学者らは、何がその爆発を生み出したかの詳細について現在も議論を交わしている。単独の赤色超巨星が崩壊爆発を起こしたのか? それとも、ある種の連星の融合によって超新星が生まれたのか?

一連の画像は、この恒星が爆発前に経験した進化段階に関するまだ理解されていない情報を膨大に保有している。パデュー大学の天文学者で観測を実施したウエッブ・プログラムの主任研究員を務めるダニー・ミリサヴリエヴィッチがメールで私に述べた。

このような恒星残骸のスケールはとてつもなく大きい。地球から1万1000光年ほどの位置にあるカシオペア座にあるカシオペア座Aは、10光年以上にわたっている。これは地球に最も近い恒星系であるケンタウルス座アルファ星までの距離の2倍以上だ。

元の超新星からの「光エコー」を分光測定することによって、過去の天文学者たちはこれを「IIb型」に分類したとミリサヴリエヴィッチはいう。これは、親星が爆発前に水素外層を剥がされたことを意味している。単一の恒星が独立にこれを行うことは困難なので、2つの恒星が関わっていた可能性が強いという。

NASAが早期公開したこの画像で最も印象的な点

残骸の中央領域が最も興味深く難解だとミリサヴリエヴィッチはいう。複数のフィルターで作った多くの色合成画像で、緑に見えることから、すぐに「グリーン・モンスター」の愛称がついた。それは南北(上下)と東西(左右)に伸びる長いフィラメントの燃えかすで、美しく絡み合う対称形の凹凸で飾られている。



このような構造はまったく予想外であり、専門家による「ドリームチーム」を結成してその起源を説明する理論を立てた。恒星残骸の明るいリングを囲んでいる赤とオレンジの輝きにも驚かされ、それは、爆発前に起きた恒星の質量損失の詳細を説明しているとミリサヴリエヴィッチは説明した。
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翻訳=高橋信夫

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