宇宙

2023.04.13

欧州の木星氷衛星探査計画「JUICE」打ち上げ直前、到着は8年後

JUICEが周回する予定の氷の衛星ガニメデ。ハッブル宇宙望遠鏡で撮影(NASA, ESA, STSCI, A. SIMON)

木星を67周。衛星エウロパ(微生物生命が存在するかもしれないと宇宙生物学者は考えている)との接近2回。最外周の衛星カリストへのフライバイが21回、そして9カ月間におよぶ太陽系最大の衛星ガニメデの軌道周回。

欧州宇宙機関(ESA)の10億ドル(約1兆3300億円)をかけた木星氷衛星探査計画(JUICE)は、数ある史上初の中でも特に心躍るミッションになるだろう。欧州の宇宙船が初めて木星を訪れることに加えて、JUICEの探査機は9カ月のミッションのフィナーレとしてガニメデに到達した後、地球以外の衛星を周回する初めてのものとなる運命にある。

木星とJUICEについて知っておくべきことのすべてを以下に記す。

JUICEとは何か?

欧州宇宙機関(ESA)が2014年以来取り組んでいるミッションだが、起源はさらに10年前まで遡る。実際には計画は11カ月遅れた。本来であれば2022年に打ち上げられ、2029年10月に木星に到達するはずだった。

打ち上げはいつ?

日本時間4月13日21時15分に打ち上げられ(ESA Web TVでライブストリーミングされる)、2031年7月に木星に到着する。

「宇宙船の開発が予定よりも長くかかり、パンデミックの影響も受けました」とESAの太陽・惑星ミッション部門長で2019年以来、JUICEの準備に心血を注いできたアンドレア・アコマッツォは述べた。

JUICEにはいくらかかっているのか?

約16億ユーロ(約2300億円)、ただしESAのミッションの資金調達方法はNASAのミッションとは大きく異なる。「ESAからは約10億ユーロ(約1450億円)ですが、このようなミッションでは科学機器が各国の機関から提供されるのが普通です」とアコマッツォはいう。

探査機にはJANUSと呼ばれるカメラから、衛星の化学組成を解明する分光計、木星とその衛星の磁場を測定する極めて重要な磁気探知機であるJ-MAGまで、10台の装置が搭載される。全装置の合計コストがおよそ6億ユーロ(約8700億円)になる。ミッション全体のコストは、ESAの水星探査計画であるBepiColombo(ベピコロンボ)や水星探査のロゼット(Rosetta)ミッションとほぼ同じだ。
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翻訳=高橋信夫

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