パリの電動キックボードシェア禁止、低投票率に批判 若者動員できず

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仏パリ市は2日に実施した住民投票で、電動キックボードのシェアサービス禁止を決定した。賛成票が圧倒的多数となったが、投票率の低さに対する激しい批判も出ている。

住民投票では、電動キックボード事業者3社による試験サービスの終了に89%が賛成。しかし、投票者数は約10万人で、全登録有権者の約7.5%に過ぎなかった。

パリでは2019年、10社ほどのマイクロモビリティ事業者が電動キックボードサービスを開始したが、無秩序なサービス展開に対する苦情が殺到。市当局は翌20年、サービスを許可する事業者をDott(ドット)、Lime(ライム)、Tier(ティア)の3社に減らした。

市はこの3社と23年9月までの3年契約を結び、世界の他の都市で課されているものと同様の制限を設定。キックボードの速度は最高時速20kmとし、キックボード専用駐車場を設置した。

しかし、苦情は収まらなかった。21年、フランス全土で起きたキックボード関連事故による死者の数は、パリでの1人を含め24人に上った。パリでは昨年、電動キックボードや類似の乗り物による事故が459件報告され、うち3件が死亡事故だった。

運営会社は規制強化案として、利用者が18歳以上であることの確認、警察による交通違反者の特定を容易にするためのナンバープレートの固定化、2人以上の搭乗禁止といった措置を提示していた。

しかしアン・イダルゴ市長は昨年、試験サービス終了の方向に傾いていることを示唆。最終的に、判断を住民投票にゆだねることを発表した。

住民投票当日には、投票に訪れた人々が高齢者に偏っていると指摘する声が相次いだ。

運営企業はこのような事態を懸念し、インフルエンサーを雇って、中心的な利用者である若い有権者に向けてサービス継続への賛成票を投じるよう呼び掛けていた。

投票結果には拘束力はないが、イダルゴ市長は投票後、結果を尊重する意向を表明した。

それでも運営側は、サービス継続をあきらめていない。ライムの広報担当者は報道機関に出した声明で、「100万人以上のパリ市民が利用している安全で排気ゼロの自動車代替製品に対して、市がこのような判断を下したことに失望している」と表明。「電動キックボードの禁止ではなく、賢明な規制を採用するためにイダルゴ市長と協力し続け、パリにとっての後退を避けられることを、引き続き期待している」と述べた。

forbes.com 原文

翻訳=Akihito Mizukoshi・編集=遠藤宗生

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