都市の移動を変える「マイクロモビリティ」の注目メーカー2社

マイクロモビリティの一形態であるeユニサイクル(Getty Images)

小型の個人用移動手段として人々の暮らしを変えつつある電動車両「マイクロモビリティ」の種類は様々で、四輪や二輪、そして一輪のものまで存在する。しかし、こうした小型で低速の乗り物が、都市部でいかに自動車や歩行者と安全に共存できるかについての課題も生まれている。

「このようなツールは歩行者にとって危険だという人もいるし、歩道に停められたeスクーター(電動キックボード)が迷惑だという人もいる」と、IoTプラットフォームを提供するParticle社マイクロモビリティ部門の責任者ネイサン・ワンは語る。

新型コロナウイルスの流行を追い風に急速に普及したマイクロモビリティは、人々の新たな移動手段となったが、目的地の付近で駐車ができないのであれば、その便利さを実感することは難しい。しかし、こうした課題にもかかわらず、世界のさまざまな企業が新たなオプションを人々に提供している。

中国の広東省に本社を置くINMOTION(インモーション)は、eユニサイクル(電動一輪車)やeスクーター、電動自転車などを製造している。Eメール取材に応じた同社のボブ・ヤンCEOは、eユニサイクルは環境汚染を削減し、短距離の移動に役立つだけでなく「人々をハッピーにする」乗り物だとコメントした。



INMOTIONのeユニサイクル「Challenger」モデルは、1回の充電で90~140キロの走行が可能だ。

また、同社のClimberと呼ばれるeスクーターは、デュアルモーターを搭載しており、坂の多い都市での利用にも適している。この分野で10年以上のキャリアを持つヤンは、個人所有のマイクロモビリティへの関心が高まる中で、自身の会社が過去3年間、毎年40%の成長率を記録したと述べている。

普通の自転車を電動化するキット

一方で、別のアプローチでこの分野に参入したのが英国に拠点を置くSwytch Bike社だ。一般的な自転車をわずかな手間と時間で電動アシスト自転車に変えられる「スウィッチ・キット」と呼ばれるツールを販売する同社のオリバー・モンタギューCEOは、「電動自転車市場が年率20〜30%で成長しているのに対し、われわれは年率300%で成長している。当社のキットに興味を持ち、ウェブサイトに登録した人は120万人を超えた」と語る。



筆者は同社からテスト用のキットを提供してもらった。取り付け作業はごく簡単で、通常の自転車の前輪を、内部にモーターを内蔵したSwytchの車輪に交換してセンサーを取り付け、ハンドルにバッテリーを固定。作業は10分ほどで完了した。

走り出すと、2回ほどペダルを踏んだだけで電気モーターが動き出した。そのパワーは明らかで、普段なら苦労する坂道を、通常の半分以下の力で2倍のスピードで登れるほどだ。

スウィッチ・キットの通常価格は約1000ドル(約13万円)だが、同社のウェブサイトでウェイティングリストに登録すれば約50%のディスカウントが受けられるため、多くの人はこれを利用している。ただし、納期は約3カ月待ちとなっている。

電動アシスト自転車やマイクロモビリティの人気が高まっていることから、モンタギューはこのキットの潜在顧客が数十億人にのぼると考えている。

このような新たなモビリティが普及し、地域社会での導入が進む中で、Particle社のワンは、これまで無かったビジネスの機会を見出している。「私たちは、モビリティの新時代に向かっている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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