高齢化時代のモビリティ、住民主体NPOの自動運転送迎サービス

プレスリリースより

愛知県春日井市は、高齢化が進む高蔵寺ニュータウンの石尾台地区にて、レベル2の自動運転車によるオンデマンド送迎サービスを開始しました。こうしたサービスはすでに日本各地で始まっていますが、これは石尾台地区の町内会や老人クラブなどが設立したNPO法人「石尾台おでかけサービス協議会」が運営しています。地域住民が主体となるNPOの自動運転送迎サービスは国内初です。

高齢化率が高く坂が多い石尾台地区では、今後、運転免許証を返納した高齢者の日常の足が奪われる恐れがあることから、2021年から自動運転によるオンデマンド型送迎サービスの実証実験を行ってきましたが、2月1日、本格スタートとなりました。

利用者は電話で予約を行い、128箇所の停留所または、運行ルート上の指定の場所で乗り降りができます。その予約をもとに運行管理システムが車両の経路を決定し、それ車両オペレーターが車に伝えます。自動運転レベル2なので、自動運転ができない区間ではドライバーが運転します。しかし、運行管理システムによりドライバーの負担は軽減されるとのことです。

使用される車両は、ヤマハ発動機製の電動ランドカーをベースに名古屋大学が開発した、公道での走行が可能な自動運転車「ゆっくりカート」です。定員は5名。自動運転システムはエクセイドが、運行管理システムはKDDIが開発しました。

このサービスは、道路運送法では「自家用有償旅客輸送」に分類されます。本来、有償で人を運ぶときは緑ナンバーの業務用自動車を使う必要がありますが、高齢者など移動が困難な人たちの送迎といった事情がある場合、白ナンバーの自家用車も使えるようになります。石尾台の「ゆっくりカート」は自治体が保有する白ナンバー車です。このサービスは利用料(会員100円、非会員300円)を支払う必要があるため、有償旅客輸送となります。

この運行管理システムは、複数予約の管理、配車調整、運行経路設定など自動で行うため、専門のノウハウがなくても運行が簡単に行えるとのことです。「地域住民でも利用可能なため、春日井市と同様の課題を持った自治体の地域住民にも活用いただけます」とKDDIは話しています。自家用有償旅客輸送による送迎サービスを導入するには、地域の関係者による協議会を立ち上げ、計画を取りまとめてから当該地区の運輸局に登録を申請する必要がありますが、これにより、自動運転送迎サービスの運用が、ずっと身近なものになりました。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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