具体的なサービスの流れはこうです。まず、住民が電話などで欲しいものを注文します。これを受けて、コープみらいウェルシア秩父影森店、ファミリーマート道の駅大滝温泉店が商品を揃えます。これを集荷して世帯別に梱包し、ドローンで中津川地区の着陸地点まで輸送した後、中津川区長が陸路で荷物を各戸に配送します。
このサービスは、秩父市と提携協定を結んだゼンリンが主体となって運用し、技術面では、KDDI、KDDIスマートドローン、エアロネクストが支えています。ドローンは、KDDIスマートドローンが開発した遠隔運行管理システム「スマートドローンツールズ」を使って遠隔自律飛行を行います。そのためにはauモバイル通信網が必要になりますが、中津川地区は地理的な条件が悪く、通信が不安定です。そこで、イーロン・マスクのスペースXが提供する衛星コンステレーションによるブロードバンドサービス「Starlink」を利用して通信環境を確保しました。
KDDIは昨年、基地局と基幹通信網との中継(バックホール)にStarlinkを加えました。通常は光ファイバーを使うところを、さまざまな事情で有線接続できない場合にStarlinkの衛星無線通信を使うということです。実証実験では、光ファイバーと同等の通信性能が確認されています。なるほど、こうした状況でStarlinkのバックホールが活用されるのですね。Starlinkがずいぶん身近に感じられます。
使用されるドローンはACSL製の「AirTruck」という物流専用ドローンです。ペイロードは最大5キログラム、最大航続距離は20キロメートルという性能を誇り、無人地帯での目視外飛行(Level3)に対応しています。
KDDIでは、このサービスで「通信不感地区におけるドローン定期配送の運用ノウハウ」を蓄積したいと考えています。こうしたサービスが、全国の山間地域や災害被災地域で活用できるよう、社会実装を目指すとしています。
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