ツアー参加からほどなくして、辻本さんから、大阪の大手百貨店で、初の「環」の販売イベントを開催したとの連絡があった。地エネの酒や資源循環のカキ、野菜や弓削牧場の製品も揃え、辻本さんも販売員として現場に立ち、お客様の良い反応を直に感じたとのことだ。結果、1週間で200万円としていた売り上げ目標を軽くクリアできただけでなく、SDGsをテーマとしたこれまでの百貨店の催事のなかで、いちばん盛り上がったと言われたそうだ。
「もったいない」という気持ちから、持続可能な地域のデザインを描くローカルSDGsは、もはやお題目だけではなく、着実に取り組む人々の努力のおかげで、それを支える消費者の行動にもしっかり結びつきはじめているということだろう。
観光もしかり。本物の、安心安全、地球規模の視点でのウェルビーイングの実現としての観光体験が確実に求められるようになっている。真の観光体験では、本当の美味しさや本物の感動、そして経済循環をうむ。それこそが、これからの観光の本来のあるべき姿であるのは間違いない。
最後に、日本酒を飲んでいる時に、本当に美味しそうな表情をしながら語る、辻本さんの言葉を紹介しよう。
「大地の自然の微生物の働きで、美味しい自然のめぐみが得られるのは当然のこと。その当然が、現在、失われつつあることをもっと人は知るべきなのです。取り戻すべきものは何なのか? もう一度、じっくり考えてみませんか? まずは一献」