常任理事会での制裁が不可能ななかで、拒否権がない国連「総会」では、この1年間の間に、ロシア関連の非難決議が、6回ほど大多数の賛成で採択されてきた。
<1>2022年3月2日「ウクライナに対する侵略」(賛成141、反対5、棄権35、無投票12)
<2>2022年3月24日「ウクライナに対する侵略の人道上の影響」(賛成140、反対5、棄権38、無投票10)
<3>2022年4月7日「ロシアの人権理事会理事国資格停止」(賛成93、反対24、棄権58、無投票18)
<4>2022年10月12日「ウクライナの領土一体性:国連憲章原則の擁護」(賛成143、反対5、棄権35、無投票10)
<5>2022年11月14日「ウクライナへの侵略に関する補償と賠償の促進」(賛成94、反対14、棄権73、無投票12)
<6>2023年2月23日「ウクライナにおける包括的、公正かつ永続的な平和のための国連憲章の諸原則」(賛成141、反対7、棄権32、無投票13)
賛成票のコアは、日米加、EU諸国と豪、といういわゆる西側諸国である。ラテンアメリカやアフリカでも中所得以上で民主主義が成熟している国のなかには賛成票を投じる国も多い。これに対して、毎回反対は、ロシア、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、の4カ国である(決議案によっては、エリトリアとニカラグアも反対)。<3>では反対票が24カ国、<5>に対しては反対票が14カ国と増えている。この2つの決議案では、他の決議案では棄権している中国や中央アジアの国々も反対票を投じている。
このような1年間で6回のロシア非難決議等の結果から、ふたつの問題が浮かび上がってくる。