コロナ以前にはまだ遠い、インバウンドの回復

GettyImages

コロナ禍で大きな打撃を受けた観光事業。出入国が緩和されたことをきっかけに、インバウンド(訪日外国人旅行)の復活が期待されていますが、だいぶ回復はしつつもコロナ禍前の状態になるまでに、まだまだ時間がかかりそうです。

訪日ラボが公開した「インバウンド情報まとめ【2023年1~3月版】」によりますと、2023年2月の訪日外客数は147万5300人(日本政府観光局が発表する訪日外客数の集計より)で、コロナ前の2019年な同月比で56.6%となっています。

約半分までは回復したことになりますが、昨年10月から徐々に伸びてきているものの、1月2月はほぼ横ばいで推移しており、一気にコロナ前まで回復するには今後の世界的な出入国の対応にかかってくるのではと思われます。

ただ、世界的に見てみると、2023年1月版の「世界観光指標」では、中等はコロナ前の水準の83%、ヨーロッパは80%まで回復しており、夏休み時期には復活する可能性が高くなっています。

日本の観光収入に大きく影響を与える中国の動向は、正月3連休で国内旅行者が5200万人を超えたものの、前年同時期比では0.4%増と大きな伸びにはなっていません。しかし、春節時期においては、国内旅行者数が3.08億人と前年同時期比23.1%増となり、2019年同期と比較しても88.6%まで回復したとしています。また、春節時期の出入境者は前年同月比2.2倍となる287.7万人で、復活の兆しが見えてきています。

観光庁の2023年度の予算は、前年度から4割増となる307億300万円となり、「観光立国復活に向けた基盤強化」及び「インバウンド回復に向けた戦略的取り組み」を掲げてコロナ禍の影響からの脱却を目指しています。キャンペーンの実施だけでなく、宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン・登録制度を創設したり、観光地におけるDX推進に向けた課題解決方法の検討を行ったりと、さまざまな取り組みをみせています。観光業の復活は日本を強くするのに欠かせない事案だけに、早期にコロナ禍からの脱却を目指してほしいものです。

出典:訪日ラボ「インバウンド動向まとめ【2023年1月~3月版】」より

文=飯島範久

ForbesBrandVoice

人気記事