国内

2023.04.07

「スタートアップの数が足りない」日本の農業のパラダイムシフト

荻野浩輝(左)と中道大輔(右)

日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。

Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

1月16日配信は、前回に引き続き一般財団法人AgVenture Lab代表理事長の荻野浩輝がゲスト。食糧自給率の低下は深刻な国のリスクと話す荻野は、日本の農業は今後どのように進んでいくべきだと考えているのだろうか。 



中道:引き続き一般社団法人AgVenture Lab代表理事長の荻野浩輝さんをお迎えしております。

荻野さんは農林中央金庫に入庫された後、当時盛り上がってきたインターネットビジネスを学ぶためUCB(カリフォルニア大学バークレー校)に留学し、帰国後はデジタルイノベーション推進部を新設され執行役員部長に就任。

イノベーションを興すにはJAグループ全体で取り組む必要があると考え、JAグループの全国組織8団体を説得してまとめあげ、AgVenture Labを設立。現在その代表理事長として、日本の食、農、地域の暮らしの課題解決に挑むスタートアップの支援に取り組んでいます。

JAのファクトブックには、日本の食料を取り巻くリスクとして、以下の5つが記載されていますが、この状況で日本の農業は今後どのように進むべきだと考えていますか。

1. 食料自給率の低迷
2. 農業生産基盤の弱体化
3. 自然災害の頻発
4. 世界的な人口増加
5. 国際化の進展

荻野:日本の農業を見ていてると、ちゃんと「経営」している農家が少ないと感じます。昨年の夏に慶応SFCの学生さんたちと北海道の十勝に行き、そこの農家の困りごとを調べて解決策を提案するワークショップをやったんですが、十勝の農家の人たちってあまり困っていないんですよ。彼らは農業をビジネスと捉えて経営しているので儲かっているからです。

日本中の農家がそんな風になれば農業を続ける人が増えるでしょうし、魅力を感じて参入する人も増えるはず。それにはまず、農業は大変で儲からないというイメージを払拭しなければいけません。

農業の一番の課題は労働力不足と販売力不足です。そういう課題を、自動収穫ロボットとか労働者のマッチングサービスとか、新しいテクノロジーやサービスを持つスタートアップの力で解消できたらいいなと。農業を就職先として選ぶような世の中になれば、食料自給率や農業生産基盤の問題も変わってくると思います。
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文=久野照美 編集=鈴木 奈央

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