イーロン・マスクの脳デバイス企業ニューラリンク、ついにヒトの臨床試験か?

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BCIのコンセプト自体は新しいものではない。実際、この10年間に、急速に発展してきた科学分野なのだ。2012年に『Mayo Clinic Proceedings(メイヨー・クリニック報告)』に掲載された論文では、BCIを「脳信号を取得し、それを解析してコマンドに変換し、出力機器に中継して目的の動作をさせる」ハードウェアだと説明している。「BCIは、通常の神経と筋肉の出力経路を使用しない。BCIの主な目的は、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脳卒中、脊髄損傷などの神経筋疾患によって障害を受けた人の機能を代替または回復させることだ」

この論文では、この概念がもたらす主要な課題についても説明している。すなわち「これらのシステムには、安全で完全に埋め込み可能なハードウェアが必要である。すなわち、何十年もの間、無傷で、機能的で、信頼性があること。長年にわたって安定した信号を記録できること。テレメトリによって記録された信号を伝えられること。その場で充電できる(または数年または数十年持続するバッテリーを搭載している)こと。堅牢で快適、便利で邪魔にならない外部要素を持つこと。高性能アプリケーションとのインターフェイスを容易に実現できること」などだ。

このような技術的なブレークスルーは、特に医療分野では、一般的に大きなリスクと多くの課題をともなう。ニューラリンクは、これからも患者の安全を最優先にしたかたちで革新と創造を続けていかなければならない。しかし、もしこのようなデバイスがきちんと動けば、壊滅的な病気に直面している世界中の何百万人もの人々を救えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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