バローや他の同様の機関との提携が成功すれば、まだ歴史の浅いニューラリンクにとって、大きな節目となるはずだ。イーロン・マスクが2016年に設立した同社は「どこにいてもコンピュータやモバイルデバイスを操作できるように、完全に埋め込み可能で、美しく外部からは見えない脳とコンピュータのインターフェースを設計する」というミッションを掲げて設立された。具体的には、この技術の応用は、以下のように詳しく説明されている。「私たちの技術の最初の目標は、麻痺のある人がコンピュータやモバイル機器を操作することで自立を取り戻せるようにすることです。そのため私たちのデバイスは、いつの日か人々がテキストや音声合成を介してより簡単にコミュニケーションしたり、ウェブ上で興味あるものを追いかけたり、写真、アート、またはライティングアプリを通じて自分の創造性を表現したりできるように設計されているのです」 。
2021年初頭、同社はその技術を使用したデモ動画を投稿したが、その動画は直後から口コミで広がった。この動画は、マカクザルが古典的なゲーム『ポン』をかなり上手にプレイしている様子を描いている。要点は、脳内にニューリンクのハードウェアを埋め込んだサルが、心だけでゲームカーソルを操作していることだ。つまり『MindPong(マインドポン)』というわけだ。
もちろん同社は課題も抱えている。2023年3月初めには、米国食品医薬品局(FDA)がニューラリンクの臨床実験開始の要求を却下したと報じられた。現在、同社がパートナー候補と協力しているのは、FDAの懸念に積極的に対応しようとしていることの表れかもしれない。もしそうでなければ、ニューラリンクは再び規制当局の監視の目にさらされることは間違いないだろう。