AI

2023.04.02 09:00

文脈のない人工知能は「人工無能」である

「パーソナライゼーションは今、難しい」とバンブリは続ける。「パーソナライズを大規模に行うにはどうしたらいいのでしょうか?10人、20人、100人の顧客にはできるかもしれませんが、数百万人の顧客にはどうすればいいのでしょうか?1回で終わりということはないのです。半年後、あるいは翌日には、また別のことが起きていて、もう一度やり直さなければならなりません」

そこで、文脈に沿ったデータとコンテンツに裏打ちされた生成型AIが重要な役割を果たすことになると彼女はいう。「データは1つにまとめられなければなりません。そうしないと、モデルはデータのサブセットでトレーニングされることになります。だから、データが集まっていればいるほど、正しく学習させることができるのです。もしデータが家族や世帯ではなく、個人のたった5つの側面に沿ってしかトレーニングされないとしたら、生成AIはマーケターにとって正しい顧客体験を生成することができないのです。コパイロットに提供される文脈が多ければ多いほど、より良いパフォーマンスを発揮することができます」

生成AIコパイロットは、組織内に必要とするスキルの条件を下げてくれるのにも役立つかもしれないとバンブリは説明する。「顧客と接する営業担当者を想像してみてください。例えば今日、会社に入社した人がその役割を担っているかもしれません。その社員が多くの知識を利用できるようにすることができます。このようなツールやプラットフォームは、ナレッジワーカーをより生産的にすることができるのです」と彼女は語る。「新入社員が入社してきたときのことを想像してみるとわかりますが、大変なことだと思います。彼らはプロダクトのポートフォリオ全体をどのように理解するのでしょうか。そして、すぐにでも仕事を始めなければならないのです。ブランドの文脈の中でコパイロットをトレーニングすることが、大きな違いを生むのです。なぜなら、コパイロットに情報を与えることができるので、コパイロットが対話するときに学習することになるからです。AIによる会話は、さまざまな場所で利用され、顧客体験を形成していくことになるでしょう」

それでも彼女は、常に人間が介在していることが重要だと強調する。「メールのような生成的なドキュメントを考えてみてください。誰かがそれを見て、読んで、検証しなければいけません。その人の承認が必要です。これらはまだ人工知能であることを忘れないでください。人工知能に他人のふりをしてもらうことはできますが、ここで映画『インセプション』的なことを考えているのだとしたら、そうはいきません。人工知能が「他人のふりをする他人」のふりをしていたりすると、すぐに誰が本物なのかわからなくなります。人間が介在することが絶対に重要なのです」と語っている。

forbes.com 原文

翻訳=Akihito Mizukoshi

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