「ステマ」を規制する運用基準発表 4つの想定ケース

いわゆる「ステマ」に対する規制を消費者庁が発表(https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/)

2023年3月28日、消費者庁は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示の運用基準」について発表した。一見するとなんのことかわかりにくいが、これはステルスマーケティング、いわゆる「ステマ」を規制するための運用基準だ。

以前から事業者側が関係した広告であるにもかかわらず、それを隠してSNSや動画配信サービス、ECサイトのレビューで、商品やサービスに第三者が投稿するステマが問題視されていた。一方で、普通に購入した製品をSNSなどで紹介すると「ステマだ!」と非難されることもよくあり、さらには「PR」など広告表示をしているにもかかわらず「ステマだ!」とピントのずれた指摘をするケースも見受けられた。

この混乱はひとえに、どういった記事や投稿、レビューが広告なのかそうではないのか、運用基準が定まっていなかったからだ。これを受けて今回消費者庁が発表したのが、今回の運用基準。ちなみにこの運用基準は10月1日から適用される。

今回の運用基準でポイントとなるのは3つ。1つめは、広告は事業者の表示とされており、規制されるのは事業者側ということ。いわゆるYouTuberやインフルエンサーなど、第三者として投稿した人が直接罰せられるわけではない。

とはいえ、YouTuberやインフルエンサーなどが投稿した内容が事業者の表示、つまり広告と規定されるので、罰則はないものの、実質的には規制されるということだ。

ちなみに「新聞・雑誌発行、放送などを業とする媒体事業者(インターネット上で営む者も含む)」が自主的な意思で企画、編集、制作した表示については、通常、事業者が表示内容の決定に関与したといえないことから、事業者の表示とはならない」としている。そのため今回の運用基準は、広告を出したい事業者側と、個人で運営しているインフルエンサー、YouTuberなどがメインの対象といった感じになる。

2つめのポイントは表示方法。「一般消費者にとって、表示内容全体から、事業者の表示であることがわかりやすい表示となっている必要がある」とされており、その投稿が広告であるとわかりやすくする必要がある。

たとえば「広告」や「PR」といった文字が他の文字と比べて小さくしたり、色が薄かったりするとアウト。また大量のハッシュタグの中に「#PR」と埋もれさせるといった手法も禁じている。さらに動画の場合は認識できないくらい短い時間だったり、冒頭以外に表示するといったこともアウトだ。

YouTubeには広告表記が必要な動画の場合、設定しておくと冒頭に「プロモーション」という表示が挿入されるYouTubeには広告表記が必要な動画の場合、設定しておくと冒頭に「プロモーション」という表示が挿入される
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文=中山智、編集=安井克至

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