ジャンルは異なるが、共通しているキーワードは「本物を体験できる」ことだ。
たとえば「スポーツ教室」の陸上編を見てみよう。セイコーの光電管という機材。陸上競技のフィニッシュラインの片側に投光器、反対側に受光器を設置し、目に見えない光の通過ラインを作り、選手が通過して光を遮断すると信号がタイマーに送られ、速報タイムが計測される。この「本物」の機材を実際に小学校に運び込み、子どもたちに体験してもらうのだ。
さらに子どもたちに走りを教えるのは、セイコーのアスリートチーム「Team Seiko」のメンバー。陸上短距離で北京・ロンドン・リオデジャネイロのオリンピック日本代表だった福島千里さんや、同じく陸上短距離でリオデジャネイロオリンピックの4×100mリレーでは銀メダルを獲得した山縣亮太選手といった本物のアスリートたちが直接指導してくれる。
1881(明治14)年に創業したセイコーは、その技術が評価され、1964年の東京オリンピックでそれまでスイスのメーカーが独占していたオリンピック公式計時を担当した。また、世界で使われている腕時計の約97%がクオーツ式だが、世界初のクオーツ式腕時計を発売したのも同社だ。
そんな老舗時計メーカーがなぜ、このSDGsにまつわる取り組みを続けているのか? セイコーグループ コーポレートブランディング部の甘原怜和氏と安井稚葉氏に聞いた。
サステナビリティ方針「WITH」の実現に向けて
「セイコーグループは『革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる未来を創ります』というグループパーパスを制定しました。そして、社会課題の解決に向けて、次のようにサステナビリティ方針を定めています。『セイコーグループは、グループパーパスを原点に、“WITH”を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献します』
“W”ell-being(よりよい人生を)
“I”nclusion(すべての人に)
“T”rust(確かな信頼で)
“H”armony(地球との調和)
この4つのテーマの頭文字をとった「WITH」の実現に向けて、私たちはアクションを行っていきますが、とはいえ解決しなければならない社会課題はたくさんありますよね。そこで、私たちとして重要なテーマは何かを考え、さらに13のマテリアリティとともに、具体的なキーアクションを定めました。課題を解決するためにこういうアクションをしていきますよ、という宣言で、わくわく教室は12番目の『次の世代の育成・支援』にあたります。SDGsの4番ですね」(安井さん)