敗因はコンテンツ不足
CMAは報告書でこう述べている。「マイクロソフトは、現状でも競合他社の大半に比べてファーストパーティーコンテンツが強い。グーグルがスタディアで失敗したことを考えると、クラウドゲーミングの成功において、コンテンツが特に重要であるとわれわれは考えている。われわれが入手した証拠は、グーグルの敗因の一つがコンテンツ不足であることを示唆しており、それはOSにLinuxを採用したことが起因している」マイクロソフトやHBOでプロジェクトを主導し、現在は米ゲーム開発企業NEONのCEOを務めるゲーム業界のベテラン、マーク・ロングも、ゲーミングプラットフォームにとって最も重要なのはコンテンツだと考えている。
グーグルは、コンテンツ不足を補うために自社スタジオを設立したが、新作ゲームを人気シリーズとして確立させるには5年を要するとロングは指摘する。「グーグルは、ゲーム業界のカルチャーを理解していないことについて、謙虚な姿勢を示していた。しかし私は、(スタディアの)ベータ版をプレイしてみたところ、驚くほど素晴らしいプロダクトだと思った」
マイクロソフトのクラウドゲーミングサービス立ち上げに携わったことのあるロングによると、クラウドゲーミングではゲーマーごとに専用サーバーを必要とし、多くの場合は高価なグラフィックカードを搭載したハイエンドサーバーが求められる。また、スタディアのゲームはLinux OS上で動作していたため、ゲームの移植が困難だった。
ロングは、遊ぶゲームを個別購入しなければならないというビジネスモデルも、スタディアの失敗につながったと指摘している。他のクラウドゲーミングサービスでは、月額料金を支払えば数百本のタイトルを遊べる。
「スタディアが多くの損失を出すことにグーグルはコミットできていなかった。対照的に、エピックゲームズはゲームストアで年間7000万ドルの損失を出しているとみられるが、将来的に独占タイトルを購入してくれるユーザーを集めるために今は無料でコンテンツを配布している」とロングは言う。
「もしスタディアが『グランド・セフト・オート』を独占配信できていたら、今では世界最大のゲーミングプラットフォームになっていただろう」
(forbes.com 原文)