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2023.02.24

「AI需要急増」で株価急騰のエヌビディア、最新決算の中身

Nvidia / Getty Images

半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は、2月22日に開示した第4四半期決算を受けて時間外取引で急騰した。株価は、日中取引を207.54ドルで終えた後、時間外で240ドル付近まで上昇した。昨年末に140ドル台に沈んだエヌビディアの株価は、暗号資産関連のチップの減収を他の分野で取り戻したことで上昇している。

同社の2022年11月~23年1月期の決算は、売上高が前年同期比21%減の60億5100万ドル(約8150億円)だったが、市場予想の60億ドル(約8080億円)を上回った。純利益は53%減の14億1400万ドル(約1900億円)だったが、アナリスト予想の12億ドル(約1900億円)を上回った。

売上高の伸びを牽引したのは自動車部門で、前年同期比135%増の2億9400万ドル(約400億円)を記録し、アナリスト予想を13%上回った。

「今期の売上高の上昇は、自動運転ソリューションや電気自動車(EV)向けコンピューティングソリューション、AIコックピットソリューションの販売の強さを反映したものだ」と、同社のCFOのコレット・クレスは述べている。

同社が注力を深めるデータセンター部門は売上高に最も貢献し、四半期で36億2000万ドル(約4870億円)を売り上げた。この額は予想の38億1000万ドル(約5130億円)を下回ったが、前年比では11%増を記録した。同部門は、人工知能(AI)を搭載したロボットや自動運転車両の開発に必要なシミュレーション機能を備えたプラットフォームの「NVIDIA Omniverse(エヌビディア・オムニバース)」を提供している。

アナリストは、エヌビディアがHopperと呼ばれるAI工場向けの新しいチップアーキテクチャやPC向けの新世代のチップなどを投入し、昨年見られたような収益の減少を逆転させることを期待している。複数のアナリストによると、同社は3月の開発者会議で新たな製品やAI関連の戦略に関する詳細な情報を発表する見通しという。

今期よりも前のエヌビディアの収益の多くは、暗号資産のイーサリアムのマイナー(採掘者)の間で広く使われているGPUを擁するゲーム部門に依存していた。しかし、イーサリアムのブロックチェーンがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に切り替わると、マイナーはこのチップを必要としなくなり、他の部門で収益を得ることを余儀なくされた。

しかし、今期のゲーム部門の収益は、アナリスト予想の15億ドル(約2020億円)を上回り、18億3000万ドル(約2460億円)を記録した。エヌビディアは、新たに発表されたMicrosoft(マイクロソフト)との提携で、クラウドゲーミングサービスであるNVIDIAのクラウドゲームサービスで「GeForce NOW」に、人気の「Call of Duty(コール オブ デューティ)」や「Overwatch(オーバーウォッチ)」などのタイトルを追加する。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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