人類は「薄氷の上に」 2035年までに気温上昇1.5度の恐れ、国連が警告

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国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は20日、世界の気温上昇幅が、2035年までに気候変動対策で重要な閾値(いきち)である1.5度に達する勢いであると警告した。壊滅的な干ばつや熱波、海面上昇を防ぐためには、温室効果ガスの大幅な削減が必要だと訴えている。

IPCCは同日の会合で、現在行われている気候変動対策のペースが「不十分」であることから、世界の気温上昇幅が2015年のパリ協定で定められた1.5度の閾値を10年以内に超える可能性があると警告した。

IPCCは、この閾値に達すると干ばつや洪水の頻度と規模が増すほか、水の安全保障問題や世界経済への打撃、多数の死者につながると指摘。IPCCのホーセン・リー議長は、気温上昇を遅らせるためには、各国が2030年までに温室効果ガスの排出量を半減し、クリーンなエネルギーや水、空気の開発を含む「気候変動に強い開発」を実施する必要があると述べた。

またIPCCは、新たな石炭生産をやめるよう各国に要請。富裕国は2030年までに、貧困国は2040年までに石炭生産をなくすべきだとした。

アントニオ・グテレス国連事務総長は、「人類は薄氷の上におり、その氷は急速に溶けている」と警告。人気映画のタイトルにかけて、「私たちの世界は、あらゆる面から気候変動対策を行う必要がある。エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(すべてを、あらゆる場所で、一度に)」と訴えた。

リーはまた、気候変動の影響が最も大きいのは、気候変動の主要因となっていない国々だと強調。こうしたの国に住む人々は、過去10年間で干ばつ、洪水、嵐によって死亡する可能性が最大15倍だったと指摘した。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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