食&酒

2023.03.17

地方創生は「食×ワイン」のケミストリーから始まる

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札幌から車で1時間、空の玄関口である新千歳空港からは1時間半。積丹半島の付け根にある人口1万8000人あまりの小さな町が、世界のフーディーやワイン好きから熱視線を集め続けている。

リンゴやブドウなどフルーツの産地として知られるこの地は、エビやウニのほか牡蠣やムール貝など漁業も盛ん。そして何より、50軒近くのワインぶどう栽培農家が畑を広げ、16軒のワイナリーがワインを仕込む。今や、道内一の生産量をマークするワインの一大産地なのだ。

そんな「食とワイン」のまちには、ポテンシャルを生かすべくレストランやオーベルジュが集積しつつある。多くの料理人や飲食関係者が漁業と農業、畜産業に注目する余市町。そこで行われたのが、スペインで実績を積むシェフの薪焼き料理と、余市&グローバルワインのペアリングを愉しむスペシャルディナー(2023年1月18日-20日)だ。希少な機会を求め、国内からワイン好きや美食家が集った雪の夜。余市の瀟洒なホテルを訪ねた。

余市産の熱源・ワイン・食材が饗宴を支える

余市駅前にたたずむ『LOOP』。その一角にあるスペインバル『Yoichi LOOP』で、今回のスペシャルディナーが開催された。

このホテルは福岡市に本拠を構えるフィールドオブドリームスが2020年にオープン。サービスマネージャーは、フランス国立トゥールーズホテル料理専門学校で学び、フランスの名門レストラン『La Terrasse』でサーブしたソムリエの倉富宗氏。京都『あらし山吉兆』でキャリアをスタートし、スペインのミシュラン一つ星レストラン『A Tafone』で研鑽を積んだ仁木偉氏が料理長を務める。

ワインと美食を楽しめるレストランスタイル「オーベルジュ」を余市で楽しめる格好のロケーションで、旅する価値のあるレストラン――ディスティネーション・レストランにふさわしい。

「1930年代にはウイスキーの蒸留所が作られ、『日本のスコットランド』として洋酒の生地となってきた余市町ですが、近年はワインぶどうの栽培が本格的に始まり、2010年には世界的な知名度を誇るワイナリー『ドメーヌ タカヒコ』が余市に醸造所を開きました。私たちも余市のワインに魅せられ、自分たちでぶどう畑を購入してワイン造りを手がけるようになったのです。

余市で活動を始めて気づいたのは、この地が誇る山海の食材の豊富さ、質の高さです。これらの食材と余市産ワインのマリアージュを実現し、グローバルを視野に入れて発信していきたい──やむにやまれず、京都にいたソムリエ、スペインにいたシェフを口説いて『LOOP』を創業しました。

そして今回、スペインのバスクで『Txispa』オーナーシェフとして活躍する前田哲郎氏を招聘したのです。札幌は200万人都市ですし、余市から好アクセスのニセコには富裕層、FIRE層も多く在住しています。ワインとグルメに通じた人たちに、世界を知る料理長とワインのペアリングを楽しんでいただきたい。そんな思いから、このイベントを企画しました」(フィールドオブドリームスCEO 吉田泰昌氏)
次ページ > 旅人の視点で余市の食材と向き合う

文=佐々木正孝 写真=梁取只詩

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