サイエンス

2023.03.19 15:00

地球初期の酸素濃度上昇は最初の大陸形成と関連

地球最初の陸塊が形成されたのは30億年前、原始的な大陸地殻が集まって最初の大陸になったときだ。次の5億年間に火山活動によって陸地が増え、プレートテクトニクスによって小さな大陸地殻同士がくっつきあって最初の超大陸が形成された。

実際、大酸化イベント(約25億年前に起きた重要な最初の酸素濃度急上昇)は、最初の超大陸「ウル(Ur)」が形成された時と一致している。

新しいモデルに基づくと、約30億年から25億年前、風化と侵食が堆積物を洗い流し、ウル大陸内部の鉱物は海に溶け出した。

「海中の鉱物粒子の増加が、藻類の分解速度を遅くしたのでしょう。これが酸素濃度に大きな影響を与えて上昇させました」と論文の主著者で、元リーズ大学、現在は北京の中国科学院の赵明宇(Mingyu Zhao)博士は説明した。

大気中酸素濃度の小さな上昇は、コロンビア大陸、次にロディニア大陸、最も新しくは約3億3500万年前に形成されたパンゲア大陸など、後期の超大陸が形成された結果だ。

大気中酸素の増加は、地球上の生命の発展に大きな影響を与えた。酸素は細胞内における栄養素の「燃焼」による代謝をより効果的にすることで、真核生物や細胞構造を持つ微生物、多細胞動植物といったより複雑な生命体が陸地で生き延び、最終的に知的生命体へと進化することを可能にした。

本研究は、地球以外の惑星で複雑な生命が発展するために必要な条件も垣間見させてくれる。

「惑星に水が存在するかどうかは物語の一部にすぎません。最終的に海へと行き着く鉱物粒子の源を提供する陸地が必要です」とピーコックは結んだ。

論文「Oxygenation of the Earth aided by mineral–organic carbon preservation」はリーズ大学が発行する論文誌「Nature Geoscience」に掲載された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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