これまで科学者の間では、酸素濃度の上昇は、地球最初の光合成微生物による光合成の結果、副産物として生成された酸素が大気中に放出されたためだと考えられてきた。
しかし、リード大学の研究チームは、この理論では観察された酸素濃度の上昇を完全には説明できないという。酸素は地球の大気に徐々に蓄積したのではなく、大酸化イベントと呼ばれる急激な増加を示している。
微生物が死んだ時、他の生命体に消費されていたと主張する研究者もいる。酸素を大気から取り込むプロセスだ。その結果、大気中酸素は低濃度で安定するはずだが、そうはなっていない。
大気中の酸素濃度が高くなるためには腐敗プロセスが遅くなるか、停止しなければならないと科学者らはいう。これは、海中の鉄粒子などの鉱物が、生命体の死骸と結合して腐敗と分解を抑制する現象によって起きる。
「鉱物粒子が藻類や植物の死骸と結合し、微生物からの攻撃を受けにくくして腐敗過程から保護する場合があることを、科学者は長年知っていましたが、鉱物粒子が大気中酸素濃度の上昇を促進したかどうかは、検証されたことがありませんでした」と研究のリーダーで、リーズ大学地球環境学部のキャロライン・ピーコック生物地球化学教授はいう。
研究チームは既知の地質学的事象を対象にして自分たちの理論を検証しようとしている。たとえば、複数の大陸が形成されて、より大きな陸塊が作られ、そこから鉄粒子などの鉱物が海へと吹き飛ばされたり流れ込んだりして鉱物粒子の濃度が高くなるような現象だ。