北米

2023.03.12 09:00

SNSの「買わない」新トレンド、ディ・インフルエンシングが画期的な理由

池田美樹

Getty Images

ここ最近、TikTok(ティックトック)で新たなトレンドとなりつつあるのが「deinfluencing(ディ・インフルエンシング)」と呼ばれるムーブメントだ。SNSのインフルエンサーたちは、趣向を凝らしたコンテンツで人々に買い物を呼びかけ、消費を促進しているが、その結果、不必要なアイテムにお金を浪費してしまう人が増えている。

これに対し、ディ・インフルエンシングを行うクリエイターたちは、流行りに乗せられて不要なものを買わないよう人々を説得しようとしている。ティックトックの#deinfluencingというハッシュタグは、これまで累計3億2000万回以上も表示されている。

Meta(メタ)が実施した調査によると、Instagram(インスタグラム)でサービスや製品を見た消費者の54%がその直後や、しばらく時間を置いた後に購入を行っているという。クレジットカードの借金に悩む人々を支援する非営利団体InCharge Debt Solutionsの2022年の調査では、3分の1以上の消費者が、「友達のSNSの投稿を見て、過剰な支出を行ったことがある」と回答していた。

カナダ人のディ・インフルエンサー、ミシェル・スキデルスキーは、ティックトックには過剰な消費のメッセージがあふれており、「ネットで見た物を買えばハッピーになれる」という幻想に陥りがちだとフォーブスに話した。

さらに、このトレンドから派生した動きとして、「買わなくていいもの」のリストを投稿するアンチ・ハウルと呼ばれるムーブメントが挙げられる。ティックトックでは、インフルエンサーがお気に入りのアイテムを爆買いするハウルと呼ばれるタイプの動画が人気だが、アンチ・ハウルの投稿を行うユーザーは、このような過剰な消費主義から距離を置こうとしている。

ティックトックが牽引する過剰な消費は、環境にダメージを与えているとの見方もある。オンラインジャーナルのNature Reviews Earth & Environmentに掲載された論文によると、ファッション業界は年間9200万トンのゴミを放出し、7900万リットルの水を消費している。

そんな中、創業者が持ち株のすべてを環境NPOに寄付したパタゴニアのように、気候変動対策に注力するブランドも存在する。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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