しかし、中小企業庁によると、日本企業のうち大企業が占める割合はわずか0.3%に過ぎない。大企業だけでなく、日本全体の給与水準が上がるのは、一体いつになるのだろうか。
人材大手のパーソルキャリアは、2021年9月~2022年8月の1年間に転職サイト「doda」に登録した正社員約56万人のデータを元に算出した、「正社員の年収中央値」を公開。中央値とは、データを大きさの順に並べた時、ちょうど「中央にある値」を指す。平均値の場合、極端に年収が高い人がいれば平均年収が引き上げられるが、中央値はその影響を受けない。
同社の調査によると、正社員の年収中央値は全体で350万円。年収の分布で見ても、300万円~400万円の層が多いことが分かった(平均年収 403万円)。性別では、男性の年収中央値は400万円(平均年収 449万円)、女性は303万円(平均年収 347万円)に留まり、男性が女性を100万円近く上回った。
年代別では、男女とも20代前半から後半にかけて年収の中央値が上昇傾向にあるものの、30歳頃を境に異なる動きが見られるように。男性は、40代になると500万円でほぼ横ばいになるものの、年齢とともに年収の中央値が上昇していく。
一方の女性は29歳から横ばいの状態が続き、50代半ばまで350万円~360万円で推移。29歳から50代半ばにかけて、年収の中央値がわずか10万円しか上がっていないという結果に。パーソルはその理由として、女性がライフスタイルの変化によって仕事量を調整していることや、女性に昇進する人が少ないことを挙げている。
男女ともにピークは60歳で、それ以降は再雇用や再就職をする人が多いこともあり、年収は下がる傾向にあった。
職種別では、年収中央値が最も高いのは「医師」で、855万円(平均年収 1027万円)。中央値と平均値との差が最も大きく、その原因を同社は担当領域が多岐にわたるため、年収の差が生じたためとしている。2位は「運用(ファンドマネジャー/ディーラー)」で710万円(平均年収 845万円)、3位は「投資銀行業務」で700万円(平均年収 850万円)だった。
さらに業界別では、最も年収の中央値が高かったのは「たばこ」業界で、700万円(平均年収 769万円)。2位に「投信/投資顧問」が600万円(平均年収 768万円)、3位に「医薬品メーカー」が550万円(平均年収 617万円)で続いた。
総務省が2月下旬に発表した1月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が、前年同月比で4.2%上昇。物価高が続き、家計は厳しさを増している。最近では、海外に出稼ぎにいく若者も増えている。貴重な労働力の海外流出を防ぐためにも、国と企業には早急な対応が求められている。
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