性的少数者の子育てに「劣る点なし」 国際研究

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ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなど性的マイノリティーのカップルの子どもは、異性カップルの子どもと比べて「育ち方」で劣る点はなく、親との関係などに関してはむしろ優れているとする研究結果を、中国と米国の研究チームが6日、英医学誌「BMJグローバル・ヘルス」に発表した。同性婚反対派が持つ根強い偏見に修正を迫る成果だ。

研究チームは、同性関係が法的に認められている国や地域で実施され、1989年から2022年4月までに発表された34の研究を分析。その結果、両親が性的マイノリティーである家族の子どもは「身体の健康」や「教育の成果」などさまざまな指標で、両親が異性の「伝統的な」家族の子どもと同程度の評価になった。

研究チームは、子どもの発達にとって親の性的指向は重要な要因ではないと結論づけている。調べた指標のうち、「心理的適応」や「親子関係」では、性的マイノリティーカップルの子どものほうが良い結果だった。

研究チームは、性的マイノリティーの親は異性愛者の親よりも「多様性に寛容で、幼い子どもを大切に養育する」と考えられるため、子どもにとって性的マイノリティーの両親のもとで育つことは「メリットになる面もあるかもしれない」との見方を示している。また、子どもは性的アイデンティティーを探ることを通じて「さまざまな状況で成功したり、活躍したりできる能力が高まる可能性もある」としている。

一方で、社会的スティグマ(社会のマジョリティー側から押しつけられる否定的評価)、差別、薄い社会的支援など、性的マイノリティーの家族に属することに伴う大きなリスクもあると研究チームは指摘。政策当局者や議員に対して、性的マイノリティー世帯の法的保護や社会的支援を手厚くし、学校をはじめとする地域サービスをもっと利用しやすくするよう訴えている。

米同性カップルの15%が子持ち

LGBTQなど性的マイノリティーの家族の子どもは近年、増えてきている。米国で同性婚の権利が保障されるなど、]法的保護や社会による受け入れが進んできたことなどが背景にある。ただ、多くの性的マイノリティーカップルが今もなお、親になろうとした場合に異性カップルにはない障害に直面しているほか、同性カップルによる養子縁組を違法としている国も依然として多い。

また、米国の州では性的マイノリティーの権利を制限する法律を制定する動きが相次いでいる。LGBTQの活動家らは、連邦最高裁が昨年、人工妊娠中絶を憲法で保障された権利として認めた判決を覆したのに続き、同様のロジックで同性婚の権利も認めなくなるのではないかとも懸念している。

米国勢調査局によると、米国の同性カップル世帯は2021年時点で120万世帯。それ以前の国勢調査によると、子どものいる同性カップル世帯の割合は約15%で、異性カップル世帯の場合(約40%)よりもかなり低い。半面、養子や継子のいる同性カップル世帯の比率は異性カップル世帯の4倍にのぼる。同性カップルは世帯規模も異性カップルより小さい傾向にある。

研究チームは今回の研究結果について、分析した研究が実施されたのは同性関係が法的に認められている国・地域に限定され、そうした国・地域では同性カップル世帯への態度も好意的になりやすいとして、普遍的に当てはまるとは限らないと断っている。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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