チームの文化で共感が重視されていれば、会社全体にプラス効果がある。チームのメンバーは互いや経営層から支援・理解されていると感じられるため、仕事での満足度が向上する。報復や恥を恐れることなく、支援を求めたり間違いを認めたりできるようになる。共感は、強固な社内文化を構築する強力なツールだ。
3. プラットフォームを超えたつながりが向上する
チャットでの顧客対応は、電話対応とはだいぶ違うものに感じるかもしれないが、どちらの方法でも共感を示すことは可能だ。「全くその通りです」「一緒に解決しましょう」といった言葉は、たとえチャットでも担当者が顧客の感情を理解していることを示す。こうした何気ない言葉を巧みに発することで、担当者は電話であれチャットであれ、顧客とより深いレベルでつながることができる。
顧客サービスの分野では、迅速にサービスを提供する方法を複数用意することが企業に求められている。企業は、テキストメッセージやメール、動画、電話など、異なる手段を通して自社ブランドの声や特色を発信できる。
共感力のある顧客サービスモデルは、顧客がその特定の連絡方法を選んだ理由を理解することを含め、顧客の立場で顧客ニーズに対応する上での基盤となり、他の企業から自社を差別化する機会となる。
友人とのメッセージのやりとりと、チャットボットとのやりとりの違いを考えてみよう。友人はあなたの言葉の細かいニュアンスに答えられる一方で、チャットボットは、それがたとえ最も高度な人工知能(AI)を備えたものでも、許されている返答数は限られている。
共感力があり型にはまらない顧客サービスは、友人とのメッセージのやりとりに似ている。こうしたサービスを提供することで、顧客との個人的なつながりに基づいたロイヤルティーを構築できる。これは誰もが利益を得る関係だ。
共感力が業績向上に有効だと役員会を説得するのは難しいかもしれない。そのためには、新規顧客獲得コストや、従業員の離職率、採用コストといった数値や、上長へのエスカレーション(二次対応)を必要とした問題の解決にかかった工数を提示しよう。
もちろん、優れた顧客対応については、数値ではなく人間的な側面から論じることも可能だ。購入したものが結果的に期待に沿わなかったとしても、自分が大事にされ評価されていると感じれば、顧客は同じ企業の商品をまた買ってくれる可能性が高い。このことは誰もが直感的に分かっている。世界の市場での競争が激しさを増す中、企業には共感力を軽視している余裕はない。
(forbes.com 原文)