燃え尽きる接客従業員 会社にできる対応は?

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ここ2年間は誰もが、不安や混乱、心配を抱えて生きてきた。しかし、接客業に就く人は、客の問題行為やサプライチェーンの問題、人材不足への対応などにより、さらに大きなストレスを抱えている。コールセンターなどで接客に当たる従業員が疲弊し燃え尽きているのも驚くことではない。

厳しい時期であっても、素晴らしい顧客体験を生むには素晴らしい従業員体験が必要だ。ストレスと不安を抱える従業員のケアは、一体誰がしているのだろう?

接客従業員は今、新たな役割を強いられている。客の質問に答えたり、商品を販売したりするだけではなく、警備やマスク着用の監督などの役割を果たし、客の話に耳を貸したり、悪い知らせを伝えたりする必要もある。小売からホスピタリティーまで、あらゆる業界の従業員が、無礼さを増す客への対応を強いられているのだ。

人材管理企業マーサーの変革サービス責任者メリッサ・スウィフトは米紙ニューヨーク・タイムズに対し「人々の怒りのはけ口が不足している。自分の体験が、当然受けてしかるべきだと思う待遇と違った場合、ウエーターや客室乗務員がすべての責任を問われる」と指摘した。飲食店や航空業界が今、かつてない人材不足に悩まされているのも当然のことだ。

新型コロナウイルスの流行で、燃え尽き症候群など心の健康の問題はあらゆる人の間で増えたが、前線で働くエッセンシャルワーカー(人々の生活に必要不可欠な仕事をする人)ではそれが特に深刻だ。コールセンター従業員では、74%が燃え尽き症候群のリスクを抱えている。電話の数が増え従業員の数が減っているのに加え、対処が難しい電話はコロナ禍で50%増えた。

一方、従業員がプレッシャーにさらされることで、顧客サービスや全体的な顧客体験は過去2年間に低下。米国でNBCテレビとテレムンドが行ったアンケート調査では、コロナ禍で顧客サービスが悪化したと答えた人は約75%に上った。

従業員保護がサービス向上につながる


人々の不満が渦巻いている今、素晴らしいサービスを提供する会社は、他社に差をつけられる。そのためには、まずは従業員を守り、素晴らしい従業員体験を提供することが必要だ。
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編集=遠藤宗生

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