飛び石などが「ミサイル」となって犬に直撃する恐れ
車にフロントガラスがついているのは、風よけのためだけでなく、走行中に路面から弾かれて飛んでくることのある石などから運転手や同乗者を守るためでもある。窓から顔を出している犬は、目や鼻、口などに飛び石の直撃を受ける可能性がある。車のスピードが時速90キロくらい出ていればば、かなり強烈な一撃になるだろう。また、動物愛護団体「ヒューメイン・ソサエティー」によると、走行風にさらされると粘膜が過剰に刺激されたり、目に砂や破片が入り込んだりすることもあるとのことだ。
犬が突然窓から飛び出す恐れ
これは筆者が実際に体験したことだ。車のスピードが出ていなかったのが不幸中の幸いだった。家から2ブロックほどの近所の通りを車で走っていたときのこと。周囲にほかの車は走っておらず、人影などもいっさいなかった。突然、愛犬のバウザーが後ろの窓からジャンプして路上に飛び降りた。なぜそうしたのかは今もわからない。バウザーは額のあたりから出血していたが、頭部やほかの部位の骨折はなかった。こぶができたものの、それも後に治り、後遺症もなかった。ただ、筆者にとってはトラウマになった。以来、犬を車に乗せるときには後ろの窓を全開にしないようにしている。あのとき、もしスピードが90キロ近く出ていたら、あるいはそばにほかの車が走っていたら、バウザーの命はなく、バウザーを愛する人たちはみんな嘆き悲しむことになっていただろう。
「起きるかもしれないこと」に備える
車に乗ってどこかに行く際には、どんな時であっても大きな事故に見舞われる可能性があることは、誰しも心得ているだろう。だが、たとえこれまで一度も衝突事故が起きなかったからといって、今後も起きないとは限らない。だからこそ、わたしたちはシートベルトを着用するわけだし、今では最も安価な車にもエアバッグやロールケージ(横転時などに乗員を保護する金属フレーム)が搭載されているわけだ。これまでずっと、飼い犬を車に乗せるときには窓から顔を出させたり、膝の上に載せたりしてきたという人もいるかもしれないが、たった一度の出来事で、自分の一生も、愛犬の一生も変わってしまいかねない。提出された法案では、飼い犬や飼い猫を固定物にロープや鎖などでつないで動きを制限することも禁じているほか、動物虐待で有罪を受けた者について、一定期間登録することを義務づけ、登録者は動物を飼ったり動物を扱う仕事に就いたりできないようにすることも定めている。
(forbes.com 原文)