環状交差点、気候変動対策の救世主になるか?

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ここで、インディアナ大学環境レジリエンス研究所(ERI)が発表した研究結果を取り上げたい。ERIのサイトでは、こう言及されている。

「1996年以降、インディアナ州中部の都市カーメルでは、120カ所以上の交差点を環状交差点に変更した。(中略)環状交差点ネットワークが整備されたことで、カーメル市ではガソリン消費量が節約され、自動車の排ガスが減少し、大気の質が改善されたほか、歩行者がより歩きやすくなり、交通の安全性が向上した」

大気の質や改善点、気候変動に関連する具体的な成果は以下のとおりだ。

・自動車のアイドリングと渋滞が減ったことによるガソリンの節約量は、環状交差点1カ所当たり年間2万4000ガロン(約9万リットル)に上った。1ガロンの価格を2ドル50セントとした場合、節約金額は推定で年間700万ドル(約9億6000万円)を超える。
・呼吸器系障害などの健康問題を引き起こす二酸化窒素が大幅に減少した。自動車は、二酸化窒素の主要な排出源である。
・交通インフラのフットプリントが減ることで、土地開発の減少や、資源利用の大きな抑制につながった。土地開発は、炭素排出が集中的に行われうる活動だ。

環状交差点導入のメリットは、これだけではない。有色人種コミュニティや貧困地域では、非常に多くの人が呼吸器系疾患に苦しんでいる。

米保健福祉省(HHS)のウェブサイトによると、2019年の時点で、非ヒスパニック系黒人が喘息を患う可能性は非ヒスパニック系白人よりも30%高かった。2020年には、非ヒスパニック系黒人の子どもが喘息関連の問題で死亡する確率は、非ヒスパニック系白人の子どもの7.6倍だった。

医療専門家によると、子どもの貧困と、呼吸器系疾患に関連する健康問題とのあいだには、人種を問わず強い相関関係がある。こうした社会的弱者が暮らすコミュニティにとっては、環状交差点は良い代替策になるかもしれない。

調査によれば、米国のドライバーたちは環状交差点があまり好きではないようだ。しかし、こうした情報を知れば、環状交差点についての考えが変わるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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