米国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所によると、BEDの患者のうち、治療を受けている人は、43%にとみられている。アメリカ精神医学会(APA)はこうした状況の改善を目指し、この摂食障害の診断と治療に関する新たなガイドラインを発表した。
BEDは、摂食行動にコントロールが効かなくなり、短時間のうちに大量の食べ物を一気に摂取することが特徴。人によっては、むちゃ食いをした後には羞恥心と後悔に襲われる。
どんな障害なのか?
少なくとも3カ月にわたって週に1回以上むちゃ食いをしている場合、BEDだと考えられる。米国摂食障害協会(NEDA)によると、具体的には以下のうち3つ以上の行動を取っている人が、BEDと診断される。「食べ過ぎて不快になるほど食べる」「食べた後に罪悪感や嫌悪感、抑うつ感を持つ」「普段より速く食べる」「空腹感がなくても大量に食べる」「大量に食べることに羞恥心があり1人で食べる」
また、BEDの兆候には「食べ物を隠しておく」「人前で食べるのを恐れる」「外見の変化を頻繁にチェックする」「胃けいれんその他の胃腸の問題(胃酸の逆流や便秘など)を起こす」「体重が増減する」「特定の食べ方をするようになる(必要以上に咀嚼を続ける、特定の食品群のみを食べる)」などがある。
BEDの人は(同時にむちゃ食いもする)過食症とは異なり、体重の増加を防ぐために過剰に運動したり、絶食したり、浄化行動(パージング、無理に吐いたり、下剤や利尿剤を服用したりすること)を取ったりはしない。
別の研究結果によると、減量のための治療を受ける10人中3人に、BEDの兆候がみられるという。また、BEDの患者は多くが肥満だ。
米国立医学図書館が行った調査によれば、BEDを発症するのは、女性の3.5%、男性の2%と推定されている(拒食症は女性の0.9%、男性の0.3%、過食症は女性の1.5%、男性の0.5%に発症しているとされる)。
治療方法
APAの新たなガイドラインでは、BEDの診断と治療のためには精神医学的評価に加え、定期的な血液検査と基本的な身体診察を行うことなどが推奨される。個人またはグループでの認知行動療法も有効だとされている。米厚生省の関連機関によると、BEDの治療方法には薬物療法、栄養カウンセリング、心理療法があり、これら3つの方法を組み合わせる場合もある。心理療法だけでは効果がみられない場合には、抗うつ薬や、リスデキサンフェタミン(小児の注意欠如・多動性障害の治療にも使用される)を処方することが推奨されている。
米Clinical Trials Arena(クリニカル・トライアルズ・アリーナ)のレポートによれば、BEDには糖尿病や関連疾患の治療に使われるGLP-1受容体作動薬(オゼンピックなど)が有効な可能性があるという。研究の結果、BEDの患者がこれらの薬の服用をやめた後、大幅に体重が増加したことが報告されている。
(forbes.com 原文)