「17期連続黒字という業績はD&Iの推進があってこそ達成された」と担当者は言う。
ペンシルのD&Iへの取り組みの1つが「メイト制度」である。子育てや介護のために就業時間に制約のある社員が非属人的な業務を担当し、それ以外の社員がコンサルタント業務などの属人的な業務を担当するという、役割分担による働き方改革の推進が行われている。結果として業務の質向上、時間外労働の減少などの効果が得られたという。
他にも、社員参加型の取り組みや、ユニークなネーミングによって、社員が自然にD&Iを学び、意識できる環境づくりなどが高く評価された。
新設の「TIC」賞 独自指標で評価
今年度より新たに設立されたトップインクルーシブカンパニー(TIC)賞では9社が受賞した。企業のD&I推進について、制度・施策面だけでなく、社員一人ひとりが社内でインクルージョン、公平性、帰属意識をどれくらい実感できているかを評価した賞である。企業は自社社員を対象に、JobRainbow独自の指標「インクルージョンスコア」を用いてサーベイを実施。そのスコアによって評価が決定した。
インクルージョンスコアの最高点を取得したのは、女性に特化したジョブマッチングサービス事業などを展開するWaris(東京都千代田区)。
同社は、妊娠・出産・育児などを経験した女性が柔軟なキャリア構築や働き方を自由に選択できる社会の実現を目指し、女性に特化したジョブマッチングサービスや働き方改革・D&I推進支援事業を展開してきた。
近年では、性別を問わず、すべての人が個性を生かして活躍できる社会づくりが求められている。そのため、まずはWaris自体が、D&Iを体現する組織づくりに取り組む。
例えば、看護休暇やファミリー休暇の取得のハードルを低くする取り組みがある。勤怠チャットで休暇の利用申請と事情説明をすると、他のメンバーが自主的に応援やサポートメッセージを送り合うのだ。このような温かなやりとりが、社内のインクルージョンに大きく貢献している。
「個人がアクティブなD&Iの担い手として、知識の蓄積と視点の転換、意識と行動の変容を繰り返すことで、すべての人の『差異を彩』に変えていくという、ダイバーシティ&インクルージョンの本来の意義が発揮されるのではないでしょうか」と星は言う。
労働人口の減少に直面する日本では、人的資本経営の重要性が高まっている。人的資本の力を最大限に発揮するために、さらなるD&Iの推進が必要不可欠である。
そして、今回の受賞企業の取り組みから、私たち1人1人の当事者意識こそがD&I推進を達成するための大きなファクターとなることが示された。
アワード受賞企業
・D&Iアワード大賞大企業部門:ファミリーマート
地方企業部門:ペンシル
中小企業部門:平安伸銅工業
スタートアップ企業部門:SAKURUG
・D&Iアワード賞
大企業部門:西村あさひ法律事務所、ユーザベース、ラッシュジャパン
地方企業部門:京セラ、神戸製鋼所、百五銀行
中小企業部門:バルクホールディングス、プラップジャパン、Meltwater Japan
スタートアップ企業部門:AIサポートホールディングス、more、READYFOR
・トップインクルーシブカンパニー賞
Waris、iYell、Meltwater Japan、テレワークマネジメント、freee、笑美面、パーソナルネット、AI サポートホールディングス 、ナイル
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